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  • 2019.08.28 Wednesday
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渋野日向子選手の行く末を危ぶむ

 渋野日向子選手が全英女子オープンゴルフでシンデレラ・ストーリー優勝を決めた瞬間、現地の実況で、女性の解説者が日本でどんなフィーバーが起きるか、想像できると述べた。それはちょうど、紀平梨花選手がフィギュアスケートNHK杯で3Aを決めたとき、欧米のメディアの解説者が吐露した懸念と同じだ。日本で、一躍有名人になるということがどういうことか。彼らは日本人よりも正確に理解している。四六時中、メディアにつきまとわれ、露出を強要させられ、疲弊させられ、調子を落とさせられる。

 「ファンが心待ちにしているから」、「お世話になった方々へ恩返しを」、「夢見る子供たちへ希望を与えるため」、・・・などと周囲から圧力をかけ、まるで出場が義務かのように錯覚させる。一種のマインドコントロールだ。まさしく贔屓の引き倒しとなるだろう。

 渋野選手が帰国して、すぐに北海道で明治製菓主催のゴルフトーナメントに出場すると報道されたとき、背後でフジサンケイグループとLPGAが動いていると感じた。新千歳空港に着くなり、フジテレビのグッディーからかぶせものをかぶらせ、彼女が好きなエグザイルのメンバーに会わせてあげるからと出演交渉がはじまったのには驚いた。彼女自身、「(海外試合後の対処の仕方をシミュレートするため、経験のため」出場を決めたと述べたが、声に力がなく、体調は明らかに悪そうだった。実際、発熱(38C)があったと報道されている。肺炎の徴候さえも見えた。それでも炎天下、3日間プレーし続け、13位でフィニッシュしたのは立派だったが、本来欠場すべきだった。

 ところが、体調が回復しないまま、引き続き、軽井沢でNECトーナメントにも出場した。これも放映権はフジが握っていた。渋野選手を同局のめざましテレビやジャンクスポーツへ頻繁に登場させた。アスリートとしてではなく、芸人=玩具扱いに等しい。フジとはそういうゲスの極みテレビ局だということを知るべきだ。フジを除く周囲の大人たちには20歳の女性の健康を第一優先にするべきという良識はなかったのだろうか。

 ネットでも、「お疲れ様」といいながら、疲弊しきっていた彼女の状態を憂慮するコメントは驚くほど少ない。それどころか、「渋野選手の笑顔を期待したのに、イギリスで魅せてくれた笑顔が少なく、がっかりした」という心ないコメントもあった。

 渋野選手にはいい教訓になったのではないだろうか。メディアが「ファンのため」、「これも経験になるから」と誘うとき、それを鵜呑みにしてはいけない。バラエティー番組出演や水着を含む写真集出版などのオファーが絶え間なくくるだろう。個人・家族情報はダダ洩れ状態となっている。プライヴァシーもなくなり、ストーカーや盗撮におびえる日々となるだろう。プロゴルファーとしての本分はあくまでゴルフであって、バラエティーなどメディア露出を優先すべきではない。すべてのファンに気に入られる必要はまったくない。イチローや田中将大を見習うべきだろう。

 

 軽井沢では、スウィング軌道が狂っていた。とくに16番ホールでは、ティーグランドでの立ち位置が3日間とも右方向を向き、無理にドローを打とうとしていた。彼女のスウィングを見て、ダスティン・ジョンソン(DJ)に似ていると思った人は多いはずだ。ネットでも同様の指摘がなされている。だが、その分析は的外れなものばかりだ。DJと渋野選手はダブル・ジョインド・アームでテイクバックをとったとき、左手首が折れる点が共通している。左小指でタイトにグリップしたあと、そのまま低重心で振り下ろすとき、クラブフェイスがスクウエアにボールに当たることだけを意識しているように見える。池田勇太選手のように、インパクトの瞬間、ボールをとらえる面が毎度バラバラで安定しないスウィングが日本では一般的だが、彼女のスウィングは安定して一定の飛距離を生み出せると思う。これは、メディシンボール投げ・受けで鍛えた腹筋と背筋があればこそといえるだろう。DJもフィジカルトレーニングの中で、同様のレジメンを取り入れている。だが、軽井沢ではテイクバックでの捻転がずれていた。蓄積された疲労のためだろう。

 

 彼女にとって、全英オープン優勝後の緊張感は半端なものではなかっただろう。はじめての海外、はじめてのしきたり、飛び交う英語。その中で、終始笑顔でプレーして、最終ホールでスライスラインを読み切ってバーディをとった。強心臓などと頓珍漢なコメントをする輩もいるが、彼女はただ無欲で精いっぱいのゴルフをしただけだろう。賞金額も把握していなかった。対するサラスはメキシコからの移民の子で、父親と一緒に下部ツアーを回った苦労人だ。ホテル代を節約するため、車中泊も多かったという。USCを経て、これまでトーナメントで勝ったのは1回だけ、2位どまりが数多かったという30歳。メジャー優勝の栄誉と賞金がのどから手が出るほど欲しかったはずだ。その長年の夢が過度の緊張につながり、最終ホール18番のスライスラインを読み切れなかったのだろう。渋野選手がバーディを決めた刹那、パッティングのプラクティス・レンジで涙を流したという。

 

 渋野選手の優勝スピーチは座親匠さん(宮里藍さんの夫さん)が用意した英文だっただろうか。全世界の人々に好意的に受け止められただろう。中身のない型どおりの挨拶だとか、日本人の発音だと揶揄する人もいるが、そうは思わない。批判する人は、フランス人やイタリア人の英語を聞いたことがないのだろう。世の中には、インド人、ヴィエトナム人など、聞き取りづらい英語の発音も多い。彼女の発音は子供でも聞き取れるものだった。

 彼女が言いよどんだ「fabulous condition」では、日本人にも馴染みがある「amazing」や「fantastic」の方が、カタカナにしたとき読みやすかったのではないかと一瞬思ったが、Cinderella Storyというfairy taleのコンテクストではやはりfabulous(ファビュラス)がfirst choiceになるべきと一人合点した。

 

 優勝後のインタビューの場面でも、座親匠さんの通訳に異論を唱える人の声がネットに上がっているが、賛同しがたい。たとえば、「たらたらしてんじゃねーよ」は、たしかにa sort of sweetsではないが、(savory) snackにしたところで、英国人にはわからないだろう。菓子名も "Don't be lying lazy, you bastard"、と直訳してしまうとCinderella storyが毀損してしまうだろう。間違いなく諧謔よりも誤解される可能性大である。彼女が頻繁に「もぐもぐ」しなければならなかったのは、空腹もあっただろうが、他のプレーヤーのプレーが遅すぎ、長く待ちぼうけを食らったからだ。そこで、「たらたら」を「もぐもぐ」することで、フラストレーションを解消する効果もあっただろう。それを英語で説明するにはあの場は相応しくなかった。

 

 欧米のゴルフファン、とくにアメリカ人は彼女を見たがっている。もはや、Irresistibleといっていい。その証拠に、全英女子オープン最終日のNBCの視聴率は、東部時間で昼食を挟んだ時間帯であったにもかかわらず、2014年にミシェル・ウィーがUSオープンで優勝したとき以来、最高だったという。(..despite the midday slot on the east coast -11:30 am to 2 pm ET- The 1.67 million average audience was the highest rated LPGA telecast since the 2014 U.S. Women’s Open won by Michelle Wie at Pinehurst.

  "We play golf in front of spectators and many viewers on TV, and I want them to enjoy watching golf." という渋野選手の言葉は欧米人の心にストレートに届いた。なぜなら、Relaxed, smiling, laughing, interacting with crowd and caddy...then, when her turn she was ready and fired away quickly. Most amazing thing I’ve seen in a LONG time!!というように、ギャラリーやキャディーと笑顔でコミュニケーションしながら、自分の順番になるとすぐに的確なショットを打つという文字通り態度で示したからだ。こんなことは久しく経験したことがないと観ている者たちをうならせた。そして、渋野選手が吹き込んだリフレッシュさは、ファンに翌日の仕事を頑張ろうという気にもさせてくれたのだ。Monday motivation brought to you by Hinako Shibuno..

 もちろん、この優勝だけで彼女の実力を即断できない。しかし、これだけはいえる。彼女は他のプレーヤーと異なり、観衆を惹きつける魅力をもっている。世界中で彼女のファンができた。そして、彼女のプレーを見れば、楽しい時間を過ごせると思えるのだ。(It is way too early to gauge her true golfing potential, but it is safe to say she is different and capable of drawing an audience. People will want to watch her play all over the world and they know they will get something back.

 渋野日向子さんは世界の宝となった。メディアは取材を控えるべきだ。間違ってもフジに出演してはいけない。さもなくば、a flash in the panに終わってしまうだろう。彼女を破壊してはならない。


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