<< 漱石没後100年、予言どおりに亡びゆく「日本」 | main | 法制化を焦る安倍カジノ法案の背後にトランプ、ネタニヤフ、カジノ王アデルソン >>

太平洋戦争開戦から75年、安倍首相は日米の英霊たちを前に何を述べようとするのか

 真珠湾開戦から75年、安倍首相は1226日ハワイに飛び、クリスマス休暇中のオバマ大統領に会うという。他国の首脳が現職大統領に敬意を表し、あえて会談申込みを控えていたにもかかわらず、トランプ次期大統領の私邸にまで押しかけ謁見を賜るというフライングを冒した。その罪滅ぼしと今年527日、現職の米大統領としては初めて広島の原爆資料館を訪れたオバマ氏の行為に対する返礼の意味もあるといわれている。

 安倍首相はトランプに面接してもらったあと、ペルーに飛び、首都リマで21か国が集うAPECAsia-Pacific Economic Cooperation)首脳会議に出席した後、アルゼンチンを訪問し、ブエノスアイレスでTPPが自由貿易推進のために必須だと説いた。その中で、アメリカのTPP参加が不可欠とトランプに秋波を送った。ところが、それに呼応するようにYouTubeにアップされたビデオ・メッセージでトランプはTPPをアメリカにとってpotential disaster(災難に等しい)と明言し、撤退することを明らかにした。その代わり二国間FTAを結ぶと言う。

https://www.youtube.com/watch?v=m7-9-_zQPoE

 今、日本では自民党が衆議院を通過させ、参議院でTPPを批准しようとしている。もともと、TPPとは、Brunei, Chile, Singapore and New Zealand4カ国だけの小さな国際通商協定に過ぎなかった。200911月、突如、オバマ大統領が参加を表明し、参加国を12ヵ国に拡大させることになった。日本は参加に躊躇した。なぜなら、アメリカが主導するTPPはオリジナルの4カ国間通商協定とは似ても似つかないアメリカ化政策(アメリカナイゼーション)を加盟国に強いるものだったからだ。アメリカはカーテンの裏で日本の参加を強く求めた。いつの間にか、安保条約も絡み、集団的自衛権行使容認と一体と解釈されるようになった。当時、民主党政権時代、反対する多くの民主党議員を無視し、野田佳彦、前原誠司、長島昭久らが参加を決めた。自民党も安倍晋三ほか多くが「断固反対」と叫んだ。稲田朋美(現防衛大臣)に至っては、自民党の先頭に立ってTPP反対の署名を集め、集会では『国益を守るためには断固反対だ』と演説し、「日本を米国の価値観で染めていいのか、・・・TPPの終着駅は日本文明の墓場」とまで述べた。マスコミは、TPPで困るのは農家だけで、生産性が低い日本の農業がつぶれるのは仕方がない、むしろ消費者にとっては関税が撤廃される食品が安くなるのは歓迎ではないか、と推進キャンペーンを張った。TPPバスに乗り遅れると「鎖国」状態の日本経済にとって死活問題と尻を叩いた。結局、アメリカ側からの要請で、日本からTPP参加を願い出るという体裁がとられたが、謀略といわずしてなんなのか。安倍首相が繰り返すように、TPPは、二大経済大国の日米いずれが欠けても意味がない。アメリカの目的は日本を引き摺りこむことにあった。背後でCSIS−日本会議−電通が暗躍した。民主党が党内プロジェクト・チームを審議未了のまま、前原誠司が一任を求め、参加を決めたとき、キシンジャーが民主党本部に詰めていた。安倍政権にとって代わり、TPPの詳細が決められていくにつれ、情報が出なくなった。「自由貿易」という抽象的なテーゼだけが強調されたが、おぼろげながら、農業はほんの一部に過ぎず、医療、金融・保険、公共事業と多岐にわたることがわかってきた。

その内容については、122日、参議院・TPP特別委員会における参考人意見陳述で簡潔に説明されている。

*西尾正道・北海道がんセンター名誉院長:

「TPP恥ずかしくないのか!党としてウソをつく」西尾正道 参考人12/2参院・TPP特別委員会

https://www.youtube.com/watch?v=wNPaytFjTUI

*醍醐聰・東京大学名誉教授:「TPPバスからの下車を!」

https://www.youtube.com/watch?v=tf7DV5eTtP0

125日、参議院TPP特別委員会における自由党共同代表、山本太郎議員の「TPPはゲームセット、完全に詰んだ!」

https://www.youtube.com/watch?v=LyAsdnv3pxE

 TPPは、最終的に日本の庶民生活を破壊する。日本企業は米企業にとって代わられ、さながら敗戦後の闇市時代に戻るだろう。当時、日本経済は朝鮮戦争特需で潤い、池田内閣の所得倍増計画を現実のものとし、高度経済成長路線に乗ることができた。しかし、輸出主導型経済は1950年代から日米貿易摩擦を引き起こした。低開発国は安い労賃を利用して繊維産業からテイクオフする。日本もそうだった。まず、日米繊維摩擦、鉄鋼、カラーテレビ、自動車、半導体へとメカトロニクス産業へと移っていった。これに対して、貿易赤字に悩むアメリカは金兌換を廃止し(ニクソンショック1971年)、変動相場制(プラザ合意1985年、1ドル240円の時代から一挙に120円へと半額に切り上げられた→要するに、アメリカに輸出された日本製品の現地価格は2倍に値上げられた。)に移行させた。日本側も自主的に輸出を抑制しようと、中曽根内閣で前川レポートを作らせ、内需主導型掲載への移行を企図した。ところが、日本はバブル経済に突入し、過剰流動性からアメリカ資産を買い漁った。世界最大の投資国となった。1988年、アメリカは牛肉・オレンジ自由化を要求し、関税が引き下げられ、安価な牛肉・オレンジが日本国内に流入した。吉野家など牛丼屋が乱立するようになった。と同時に、包括通商法(スーパー301条)を制定し、日本の保護主義的な関税撤廃を求め、報復的な関税引き上げを行い、日本製品の輸入を抑制しようとした。1989年、とうとうアメリカは個々の品目、制度を問題にする従来のやり方から、「日米構造協議」(Structural Impediments Initiative SII)に切り替えた。日米貿易不均衡の是正を目的として日本国内の慣習を包括的に改廃させようとした。1993年に「日米包括経済協議」(US-Japan Framework for a New Economic Partnership)、1994年から「年次改革要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)、2011年、「日米経済調和対話」(United States-Japan Economic Harmonization Initiative)へと日米当局の協議の名称は変わっていった。ここで、協議の名称について、英語と日本語の間に極めて大きなギャップがあることに気が付く。英語で「Initiative」とは「要望」・「対話」を意味しない。「何が何でもやれ」という命令に近い。事実、具体的にいつまでに何をやれと課題を提示され、日本側の有無を言わせず、法改正を迫るのである。2000年、大店法が改正されたのは、トイザラスの日本進出を可能にさせるためだった。製造業への派遣社員が常態化したのも、非正規雇用が蔓延したのも、「規制緩和」=人材流動化というキャッチコピーで労基法を骨抜きにしたのも、すべてアメリカからの圧力である。(竹中平蔵らをエージェントとして使っている)QCサークルなど日本の製造現場から生まれた創意工夫の伝統は潰えてしまった。他方で、ロックフェラーセンターを買収した三菱地所のように、米投資銀行は日本企業にM&Aをけしかけ、詐欺に近い形で日本からカネを強奪してきた。欧米では見向きもされないドラッカーを日本に紹介し、コアコンピタンス経営で次世代へのパイプラインの芽を悉く摘んでしまったのも、工場の海外移転を加速させたのも、すべて同じグループ(CSIS→官僚・大学教授→電通→マスコミ)である。安倍自民党が国会で強行採決を繰り返すのも、背後にこうしたアメリカからの圧力があるためである。イニシアティヴを履行しないと地位が危うくなる。こうして、日本の競争力の源泉は跡形もなく消え去ってしまったというわけである。

 TPPに関して、トランプは撤退を言明している。それにもかかわらず、安倍首相が批准を急ぐわけは、交渉相手のCSISUSTRから指示を受けているからだ。トランプ次期大統領の下で、二国間FTATTPの合意内容から出発することができる。これまでも、日本側は、国内需要以上のオレンジ、小麦、米、大豆、ワクチンなどを輸入させられている。ミニマム・アクセスという合意事項だ。オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどアングロ・サクソン諸国を代表して、アメリカは牛肉や大豆の消費量は人口10万人当たりOOトンだから、日本の消費量もかくあるべし、という論理で日本に年度単位で最低輸入量を割り当てる。日本国政府に無理やり農産物を一定量購入させるのである。実需を超える購入分は廃棄するほかない。その分、税金→国債という日本の借金が積み増される。子宮頸がんワクチンやタミフル、リレンザも同様である。現在のWHO事務局長マーガレット・チャンは香港出身だが、パンデミック・アラートを頻繁にイシュウしている。そのたびに、厚労省は大量のワクチンを備蓄させられている。背後に、CSISUSTR−メルクなどメガ・ファーマからの圧力がある。

 トランプの日本に対する認識は、1980年後半のアメリカ政府の立場と同工異曲である。すなわち、日本市場により多くの外国製品を流入させるほか、アメリカの国益に反する日本国内の慣習を強制的に変えさせる。(Japanese resistance to repeated United States efforts to get Japan to open its market more to foreign goods and to change other economic practices seen as adverse to United States economic interests. )日本国内に存在する2つの反対勢力−海外と競争する力のない(衰退)産業や新興産業の保護をさせないようにする。(two types—those representing inefficient or "declining" producers, manufacturers, and distributors, who could not compete if faced with full foreign competition; and those up-and-coming industries that the Japanese government wished to protect from foreign competition until they could compete effectively on world markets.)日本の健康保険制度について、安倍首相はTPPによって崩壊させないと主張しているが、TPPで事実上、形骸化する。小野薬品/ブリストル・マイヤーズ・スクイブのオプジーボの競合薬である、メルクのがんチェックポイント免疫薬のキイトルーダが悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として年内に承認される見通しである。オプジーボは見込み年間治療費が35百万円から半額に切り下げられたが、2千万円弱かかる。キトルーダはオプジーボ薬価を参考に決定される。今後、ファイザー、アストラゼネカなど欧米系製薬会社は次から次に高額医薬品の承認を求めてくると見込まれている。オバマ大統領が推進しているプレシジョン医療(Precision Medicine)も厚労省に導入させている。各人のゲノムに応じたテイラーメイド医療を指している。たとえば、がんについては、現在の臓器別治療は無意味で、個々の患者の変異遺伝子(表現型)に応じた治療を行う。服でいえば、オートクチュール、患者の個性に合わせ治療薬を決める。ゆえに、高額となる。プレタポルテの標準治療の有効性は否定されるだろうが、貧乏人にはオートクチュールは高すぎて手が届かない。日本の医療制度はカネ持ちだけが恩恵を受けられるアメリカ型に移行することになる。

 20139月、NY証券取引所で“Japan is Back.・・・Buy my Abenomics”と誇らしげに手を挙げ、聴衆に応えた。そのアベノミクスは消費税増税を延期しなければならないほど、効果のないものだった。さらには、ドイツのメルケル首相に財政支出を増やせと忠告し、顰蹙を買った。日本国民には想像もできないだろうが、異次元の金融緩和のつけがこれから日本国民を襲う。大幅な円安時代の到来である。OPECは原油の減産を決めた。原発廃炉費用もオンされる。エネルギー価格は高騰しよう。他方、年金給付額は引き下げられる。現在の年金受給者4人に1人の月額給付額は5万円程度しかない。これでは今でも暮らしていけない。今後、窮鼠猫を噛む−窃盗・強盗・殺人、自殺が横行することになるだろう。

 トランプは、当選後も“The forgotten men and women of our country will be forgotten no longer.” “Be Voice of ‘Forgotten Americans”=忘れ去られたアメリカ国民のための政策を実行すると明言している。グローバリゼーションの敗者はいわれなき敗者であるという。そのターゲットは、日本である。上に述べたように、日本は自国市場を不当に守る一方でアメリカに怒涛の輸出攻勢をかけ、アメリカ国民から職を奪っているというのである。しかし、アメリカでも貧富の格差が増大している。大企業がNAFTAなどを利用してメキシコに工場を移転し、多額の役員報酬を受け取っている。とくに大企業の大株主など上位1%の超富裕層は資産を積み増している。だとすれば、所得の再配分こそ喫緊の課題であるはずだが、トランプを支援しているユダヤ人富裕層は巧みに矛先を日本に振り向けている。しかも、トランプが救済しようとしているアメリカ国民は白人たちである。彼らにとって、深層心理にリメンバー・パールハーバーが刻み込まれている。日本人は狡賢く好戦的な民族なのである。戦後70年、マッカーサーが制定した平和憲法のおかげで戦争を封じ込んできたが、安倍政権は自衛隊(SDF)を正式の軍隊に格上げしようとしている。実は、この動きもアメリカから要請されてのことだが、トランプは巧みに世論を反対方向に誘導するだろう。

 昨年814日、安倍首相の戦後70年談話について、NYタイムズは歴史修正主義と論評した。西欧列強の植民地化に対抗するためやむを得えず「力」に訴えてしまった、と述べたからだ。しかも、戦後生まれが8割を超え、そろそろ謝罪外交は止めようとも示唆した。しかし、太平洋戦争だけで2千万人以上の犠牲者を出した。アメリカも周辺国もその惨劇を忘れてはいない。加害者側が忘れようとしても、従軍慰安婦問題にしても、A級戦犯靖国合祀問題にしても被害国側は忘れない。アメリカもパールハーバーの悲劇は金輪際忘れない。安倍首相の人間性が通り一遍の謝罪外交を皮相的なものにしてしまっている。一日本国民として、安倍晋三という人間を日本国の代表者として、国際舞台に立たせ続けていることは慙愧に耐えない。

 


スポンサーサイト

  • 2017.05.29 Monday
  • -
  • 16:58
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
sponsored links
コメント
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM