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葛西りまさん、13歳の笑顔

  青森県黒石市は人口35千人ほどの小さな町。浪岡中学校は黒石市の北部、青森市と弘前市の中間点に位置する。「葛西りま」さんは、825日朝、JR奥羽線北常盤駅で列車に飛びこむまで、浪岡中学の2年生だった。享年13歳。

  黒石よされという「流し踊り」祭が815日から20日まで開催された。この祭りをテーマにした写真コンテストが企画され、応募した写真の中に「葛西りま」さんの遺影があった。カメラマンは「りまさん」と面識はなく、偶然の出会いが印象的な写真として残った。「表情の明るさ、漂う熱気、精いっぱい楽しむ姿にひかれ」てシャッターを押したのだという。コンテスト主催者側の目にもその素晴らしさが伝わったのだろう。8つ設けられた賞のうち最高の黒石市長賞が授与されることになった。1010日ごろ、遺族に連絡したところ、主催者側は被写体の自殺を知る。そこで異論が噴出した。須藤重昭・元黒石観光協会長の「写真が公になり、さまざまな臆測が出ることを懸念した」という声に押され、村上信吾・大会実行委員長(黒石商工会議所会頭)らが内定取り消しを決定、黒石市長の高樋憲も了承し、遺族に授賞撤回が伝えられた。

  主催者側から遺族に伝えられたキャンセルの理由は「(自殺した人の写真は祭りの趣旨に)相応しくない」ということだったという。「りまさん」の49日に届いた内定通知に「娘が生きた証」になると喜んだ家族は一転悲嘆にくれた。それをきっかけにマスコミ報道が過熱することになった。

 遺書が遺されている。小学校時代から「手踊り」が得意で、チームの一員として東京で開かれる全国大会への出場も決まっていたらしい。その仲間に詫び、家族に詫びている。鉄道自殺では遺体の損傷が激しい。そのこともわかっている。「綺麗な死に方すらできないけど 楽しい時もありました。」とスマホに打ち込んでいる。

 遺書には「特別虐待があったわけでもない」とあるが、報道によると、

・トイレで暴力を振るわれ

・所持品をゴミ箱に投げ入れられ

・答案用紙を黒板に貼られ

・おカネを奪われ

・うそをばら撒かれ

・万引きを強要され、拒否すると殴られ

・部屋を荒らされ

・自殺の練習をさせられ

といった「いじめ」が繰り返されていたという。

 

  このような非道な「いじめ」は浪岡中学に入学後、始まったらしい。親も学校に相談していたらしいが、当時の担任(13組)の岡本知恵教諭、24組担任の駒井陽子教諭、校長の齋藤実氏らは見て見ぬふりを続けたらしい。この校長は「葛西りまさんは死にました」と生徒らに伝えたという。人間として一片の呵責も感じられない無機質な言葉に唖然とするが、この学校では「りま」さんの死後も全校を上げて「いじめ」を繰り広げている。なんと通常通り文化祭「浪中祭」を開催し、いじめ主犯格の工O千江梨に英語スピーチをやらせたいうのだ。同級生を死に追いやった「いじめグループ」の工O千江梨/成O吏那/有O空/山O瑠花/工O青馬/千O倫太朗/山O陸人らに反省の機会を持たせる意味で、喪に服させなければならない期間である。しかも、この浪中祭の催しとして、故人が愛した「手踊り」を披露させたというではないか。

  この校長は(学校経営)理念として哲学者(教育者)森信三の言葉を掲げているが、生徒を死に追いやっていながらなんらの反省もなく、時宜も弁えず学園祭を開き、学校を生徒の魂を救えない不浄の場とし、保護者に対して無礼な態度は人倫に悖るといわなければならない。「時を守り 場を清め 礼を正す」という言葉を生徒に垂れる前に自戒すべきだろう。

  13歳といえば、物心ついてから10年も経っていない。いじめた側も、いじめられた側も世の中のごく一部分しか経験していない。

いじめっこらの中には家庭でDVを受けていた子もいるだろう。小学校時代、いじめられていた子らもいるだろう。「やらなければ、逆にやられる」という思いもあっただろう。こうした短絡的な激情を後押しするモンスター・ペアレントを持つ子らが「いじめっこ」になることが多い。モンスターが背後についていると思えば、教師たちのいじめっこ対応も及び腰とならざるをえない。子供たちは教師のビビる心を見透かしている。ましてや、臭い物には蓋がモットーの校長の下にあっては、「見て見ぬふり」をするどころか、「自殺の練習」の手助けをする教師もいたかも知れない。過去にそうした事例もあった。この学校には「悪魔の学校」というレッテルが貼られているというネット情報もある。

  この種の「いじめ自殺」は後を絶たない。多くの場合、学校ぐるみ、地域ぐるみで「いじめられっこ」を自殺に追い込み、事前に相談を受けていたにもかかわらず、学校は「いじめはなかった」ことにして野放しにするのが常である。だから、ますますエスカレートする。しかも、いじめっ子のバックについているモンスター・ペアレントたちは校長・教師と一体となって、いじめを苦にした生徒が自殺した後も、執拗に自殺した生徒やその家族に罵詈雑言を浴びせる事例が多い。利害が一致する運命共同体となるからだ。

  なぜ、こうした悲劇が繰り返されるのか。世の中にはサディストという人種がいる。いじめっこのDNA、育てられた環境、すなわち、右脳、前頭前野、扁桃体を結ぶネットワークが断線しているか、その活性が弱ければ、他人が苦しむ姿を快感に思う人種が生まれる。オキシトシンの分泌が弱く、他人を思い遣るこころも持てない。しかも、性ホルモンの分泌が高まる思春期には、心身ともにアンバランスとなる。DVを受けている子供の場合、学校でその代償行為のターゲットを探す。教師にはいじめをコントロールする能力はない。そうした生徒同士が性ホルモンに操られ暴走し出すと、そのうねりは集団を巻き込んでしまう。そこには知性は働かないから、「いじめはしないように」と言葉で言っても通じない。(浪岡中学の担任教師は、生徒たちに「いじめると自殺するかも」と言っていたとされるが、無神経にもほどがある。)子供たちには猛り狂った情動しか働かない。といって、教条主義のリーダーの下では、教師たちは「形だけの」マニュアル教育に忙しく、いじめっこたちを矯正しようとする熱意・動機などあろうはずもない。自らの教師人生が大過なくいくようにという打算しかない。(これも保護者・生徒たちに見透かされている。)いったい、今年に入って何人の中高生たちが自殺もしくはリンチ殺人の犠牲者となっただろうか。

  だいぶ昔の話になるが、わたしの子供も小学6年生の転校後間もなく、いじめに逢った。いじめはエスカレートする。エスカレートする前に対策を講じなければトラウマとなって一生苦しむことになる。そのように考え、学校を休ませることにした。学校から「いじめはやめるように指導しましたので登校させてください」と依頼があったが、無視した。重要なことは、同級生たちからどんな誘いがあっても乗らないことである。「いじめ」は必ず再燃する。いじめっこらには、いじめた快感が集団の記憶として残っている。校長と担任と面談した結果、人格・能力の観点で不信感以外懐かなかった。彼らに任せても解決するはずがない。当然、いじめっこたちと同じ中学校へ通わせるわけにはいかない。校長は無責任にもしきりに「公立」を奨めたが、「はい、はい」といって取り合わず、遠くの私立に行かせた。その後、子供は一度もいじめに逢うこともなく、勉強に部活に楽しい学園生活を送ることができた。いい私立(学校にもよるが)は父兄の評判を気にするから、いじめっこは退学させられるが、公立の教師は教育委員会を気にするだけである。

  「いじめ」は日本だけの問題ではない。世界中で起きている。教師にも止められない。だとすると、最後の砦は親しかない。いじめがエスカレートする前に地域社会と訣別させる覚悟がいるだろう。学校を離れても、いじめっこらはスマホやSNSで執拗につながりを持とうとする。転校しても、次のターゲットを見つけようとする。いじめられっこの友人がそのターゲットとなるケースが多い。そして、その子から、転校後の情報を聞き出そうとする。その輪を断ち切らなければならない。それは親にしかできない。

  現代日本では、「いじめ」、「ストーカー被害」、「DV」に対して、学校・警察・社会福祉事務所といった公的機関ではほとんど解決できない。自力救済が認められていない以上、被害者は孤独の中で恐怖に苛まれながら、ただ死を待つのみなのだ。(だからこそ、アメリカでは弱者が銃で自己防衛する必要性が銃犯罪のリスクを凌駕している。)その中で、唯一、親だけが「いじめられっこ」のsafe havenとなり得る存在なのだ。ただし、親に迷惑をかけたくないと思う、芯から心優しい子供は黙って死を選ぶことになる。

 写真の中の「りま」さんの笑顔は泣き顔にも見えてくる。今生最期の手踊りと心に決め、必死の笑顔をつくっていたのかも知れない。あなたの魂の叫びが聞こえてきました。https://www.youtube.com/watch?v=JxPj3GAYYZ0

Please rest in peace.


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  • 2017.10.28 Saturday
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