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がん代替療法について

  10月に入り、街にはちらほらハロウィーンHalloweenの装いが見え隠れし始めた。その起源について諸説あるが、古くケルト人たちが冬の到来を告げるお祭りとして10月末に行ったのが始まりとする説が有力だ。16世紀末に発表されたシェイクスピアの喜劇『ヴェローナの二紳士』(The Two Gentlemen of Verona)にも出てくる。日本にもディズニーランドの催しとして輸入され、クリスマス、ヴァレンタインズ・デイなどともに季節的行事として浸透している。ハロウィーンのコンセプトとしては、亡くなった人々の魂との交流である。悪魔、ミイラ、妖怪、妖精に扮した子供たちが家々を訪問し、トリック・オア・トリート(Trick-or-treat)と叫ぶ。トリック(悪さ)されたくなければ、「お菓子をくれ」と要求する。エンターテインメントの形式をとっているが、元来、今は亡き人々に対する鎮魂祭である。こうした祭事は世界中にある。日本ではお盆がそれに相当するだろう。

 さて、2008年、Trick or Treatment?(トリック・オア・トリートメント)という本が刊行された。副題にAlternative Medicine on Trial「代替医療を裁く」とある。著者は、Edzard Ernst and Simon Singh。代替医療も手掛けた経験を持つ医学部教授とサイエンス・ライターのコラボ作だ。日本では2010年に「代替医療トリック」(新潮社)として訳出され、2013年に「代替医療解剖」(新潮文庫)として文庫本化された。どちらの日本語タイトルでも原題のエスプリが消えているのが残念だ。「インチキ医療で本当にいいの?」というのが原題の含意だろう。

 さて、前回のブログ・エントリーで標準療法こそ「がん」を悪化させ、悪液質を招く元凶だと指摘した。その理由を一口でいえば、手術、抗がん剤、放射線という三大療法のすべてが身体を傷つける(侵襲的=invasive)ものだからだ。

 しかし、現代日本では、がんが見つかったとき、患者本人や家族が標準療法以外の(補完)代替医療(CAMComplementary and Alternative Medicine)を選択することは困難である。医学界が定めた標準的なプロトコルを事実上「強制」されるからだ。「残念ですが、あなたは『がん』に侵されています。ステージはOOです。」と告知され、OOに機銑犬入れられる。そして、ステージ鍵奮阿任△譴弌⊆蟒僂塙海ん剤が奨められる。「ステージが若ければ、完全寛解も期待できます。抗がん剤でがん腫瘍を小さくして切除し、術後にも抗がん剤で残ったがん細胞を死滅させることができますから。抗がん剤も日進月歩でいいものが次から次へ開発されていますので、大丈夫です。納得されましたか?『患者様』」とインフォームド・コンセント文書に署名させられる。この時点で、エツァート・エルンストとサイモン・シンが信奉する「標準療法」を拒否できる患者が何人いるだろうか?

 しかし、主治医の説明には多くのトリックが含まれている。現在、使われている主要な抗がん剤のほとんどは4050年前に開発されたものである。当時、がん治療薬はなく、どうせ死亡するのだからと、アルキル剤(マスタード・ガス成分)を主とする細胞毒を処方したのが抗がん剤の始まりだった。現在に通用する二重盲検ランダム化比較臨床試験など実施されたか疑わしいまま、ガイドラインに取り入れられた。投与後28日間以内に腫瘍体積が半分に縮小すれば抗がん剤として効果があったとされ、薬として承認されるが、その割合は100人中20人でOKなのである。つまり、8割の人には効かない。しかも、効いたとされる2割のがん患者にも延命が約束されたわけではない。多くの場合、5週間目以降、リバウンドして腫瘍が大きくなるか、他臓器に転移してしまう。ただし、悪性リンパ腫など血液のがんなどごく一部のがんには抗がん剤が効く場合もある。固形がんには効かないどころか、正常細胞を傷つけ、悪液質を招く。

 たしかに、手術、抗がん剤など標準療法を受けた後、回復した人も身近に存在するが、そうした人々が「本当のがん」だったのか、疑問がある。身体の中にできた「おでき」や「吹き出物」の可能性も否定できないからだ。「悪性/良性」の判定に絶対的なものはない。また、そう考えなければ、全身にがんが転移して明日にも死ぬと言われた人が奇跡的に寛解するはずがない。(故筑紫哲也氏と同じ時期に末期がんと診断されホスピス送りとされた(朝日新聞の)先輩の方が元気に生存されておられると立花隆氏がどこかで書かれていたと記憶している。ただし、奇跡的に免疫力が回復するケースもあると思われる。以下に述べるように現段階ではプラセボ効果と呼ばざるをえない「劇的寛解=Radical Remissiont」と呼ばれるケースだ。)

 

 さて、がんに対する標準治療を拒否した場合、がん患者として「放置療法」しかないのだろうか?前掲の「代替医療解剖」は、代替医療はインチキだと断罪する。ホメオパシー、鍼、カイロプラクティック、結腸洗浄、鍼灸、漢方薬などは、「科学的根拠に基づく医療」(EBM : evidence based medicine)という現代医療のプロトコルから逸脱していると主張する。代替医療が「代替・補完」の位置づけに留まっている理由は、二重盲検ランダム化臨床試験という手続きを経て客観的・統計的に証明されていない以上、科学的とはいえないからだ。がんについていえば、免疫・ワクチン療法、温熱療法、ゲルソン食事療法(無塩食、動物性蛋白質摂取制限、ω3以外の油脂摂取制限、新鮮な有機野菜ジュース・スープなど)、アーヴェルユーダ、漢方薬・ハーブ、サプリメント、ヨガ、レイキ、マッサージ、アロマθェラピー、BRMBiological Response Modifier;アガリクス、カワラタケなどキノコ、サメ軟骨、フコダイン(海藻成分)、カテキン、納豆、乳酸菌、黒にんにく、プロポリス(蜂蜜)、レートリル(ビワに含まれるアミグダリン)、etc.}などが実践されている。これらのがん代替療法の有効性は科学的に証明されていない。(ただし、オランダでは放射線+温熱療法の比較優位が確認されている。)

 果たして、これら標準療法以外の療法にはまったく効果がないのだろうか?イギリスのチャールズ皇太子をはじめ、有名人たちの中には代替療法を強く支持する人々もいる(俳優のスティーヴ・マックイーンはがんをレートリルで治そうとして亡くなった。)WHO報告書では一部の鍼灸療法の有効性を認めている。「代替医療解剖」の著者たちも、一定の効果を認めているものもあるが、それはプラセボ効果に過ぎないと主張する。

それでは、プラセボとはどうして起きるのだろうか?白衣の名医が高級感のある緑色のパッケージの薬を処方すれば偽薬であっても症状改善効果が認められる。11錠よりも2錠服用と処方された方が効果が高い。条件づけられた期待効果というべき心理的なものだ。

 ケリー・ターナー著「がんが自然に治る生き方」(プレジデント社)では、ブラジルで神様のジョンと呼ばれる人物の下にがん患者らが全世界から集い、スピリチュアルなプラクティスを通じて難病を克服しようとしているケースが紹介されている。生活様式、食事内容を見直し、心と身体のバランスの崩れを矯正しようというものらしい。「何を飲食するか、運動は?睡眠は?量は?質は?」と自分に問いかけ、ストレスや怖れを除去し、愛や幸福感を感じられるようにすれば、一人一人が生きる力を自らの内側から引き出すエンパワーメントを得ることができるというものらしい。

 がんの自然退縮はプラセボ効果の極限にあると思う。スピリチュアリティ云々といえば、胡散臭くなるのは否定できないが、私たちは日常生活で霊的な感動を経験している。集中力が増し、モノゴトがゾーンに入ったように進むとき、亡くなった肉親に夢で邂逅したり、オーロラなど自然の神秘現象を生で体験したり、など自らの霊性が高まる奇跡のような体験。

 デカルトがすべての存在を疑問に思って辿り着いた結論は、そのように疑っている自分の存在は疑えないとするものだった。そこでいう自分とは形而上的な「精神」である。しかし、その精神とは、肉体というハードウエアに依存する。目、鼻、耳、舌、皮膚といったセンサーの精度次第で感応の有無・程度が変わる。いいかえれば、個々人で異なるし、同じ人でも健康状態によって変わる。そうした入力装置だけではない。視覚や聴覚でとらえられた外部刺激は神経を伝わり、脳に届くが、刺激によって反応する部位が異なる。外部刺激は電気信号(カリウムイオン、ナトリウムイオン、塩素イオン)に変換され、それぞれのイオン・チャネルをドミノ式に伝わり、ニューロンの軸索接合部位であるシナプスに到達する。そこでグルタミン酸やγアミノ酪酸(=GABA)という化学物質を介した伝達方式に切り替わる。そこでの受容の有り方、すなわち、NMDAなどの受容/グリア細胞の働き次第でアウトプットが変わる。つまり、神経伝達経路がどこかで断線していれば、物理的に存在していても、「ない」ことになってしまう。あるいは、自分には「赤」に見えていても、他人にどう見えているか、わからない。味と同じだ。他人の味覚も永久にわからない。

 デカルトが精神と肉体を区分して、自分の精神=心という実体を認識の出発点とし、肉体を機械と見做したことで、科学は人間を生物機械とする(要素)還元主義に陥ってしまった。DNAが発見され、ゲノム解析が行われ、がん細胞の分裂周期に合せた抗がん剤が開発されたが、DNAには様々な修飾がなされている。DNAが巻き付いているヒストンにも修飾がなされている。クロマチンが緩んでいる箇所があれば、凝縮している箇所もある。科学がやってきたことは、ひたすらミクロを覗きこみ、様々なモノや活動に名前を付けて分類したに過ぎない。言葉の世界でだけ通用する論理式に従って仮説を作り続けてきただけだ。子宮頸がんワクチン禍についても分子量の大きい物質はBBBを通過できないから、アジュヴァントに含まれるアルミニウムや保存剤のチメロサールは脳には影響しないと言われたものだが、インスリンも通過するし、アンフェタミンも通る。トランスセリンレセプターなどの受容体と結合すれば分子量が大きくても脳内に侵入できることがわかっている。

 がんに関していえば、インターフェロンも、イレッサも、オキサリプラチンも、アバスチンも(そして、オプジーボも)、画期的新薬と言われたが、目論見通りにはいかなかった。それはたぶん、ヒトを精神と肉体に分けるという発想の限界を示している。魂の発現場所が脳だとすると、そこへのアプローチなしにはがん治療の将来はないだろう。ドーパミン、エンドルフィン、セロトニン、オキシトシンなどのホルモン(下垂体−視床/内分泌系)と血液・免疫機構(マクロファージ、マスト細胞、T細胞、B細胞など)、ユビキチン・プロテアソーム/オートファジー・リソソーム機構、神経伝達系のすべてを考慮に入れなければ、有効な解決法に至らないだろう。現段階ではとても無理だ。そうだとすれば、プラセボ効果の解明こそ優先すべきだろう。


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