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日本のメディアの皆様より離脱派イギリス人の知性の方が上ですよね!

 イギリスのEU離脱国民投票の結果が世界中で尾を引いている。日本のテレビのおちゃらけ情報番組では、残留派の怨念の声だけを拾い上げ、いつもながら一方的かつ感情的な批判を離脱派に向けている。たしかに、株は大暴落するわ、円は急騰するわ、で日本は大迷惑である。イギリスをEU内拠点として進出した日本企業は戦略の練り直しが必要となるかもしれない。

 ただ、離脱が判明した途端、「EU」や「EU離脱」がグーグル検索でトップになったからといって、離脱派が結果に驚いて心配になり検索をかけたと結論付けるのは早計だ。むしろ、心配になった残留派が多数検索した可能性もある。日本のメディアは、ガーディアンをはじめとする残留派の主張を一方的に取り上げ、知的レベルの低い地方の工場労働者たちが移民に職を奪われることを危惧して「感情的」に離脱を支持し、結果が出て狼狽していると結論付けているが憶測に基づき論理的ではない。若い世代は残留派が圧倒していたとする年代別の票数調査も、適切にランダム・サンプリング(標本数1万数千)が行われたのか、不明だ。標本サイズとしては十分だとしても、Lord Ashcroftの調査だけに依拠するのは危険だ。地域差があり過ぎる。(ただし、L. Ashcroftは投票前、Leave派だった)

 客観データとして明確なのは、離脱派52%VS残留派48%という結果だけだ。そして、残留派が多かった地域としては、ロンドン周辺、スコットランド、北アイルランドの一部というデータが明らかになっている。

 日本のマスコミが一様に「予想外です」と驚いた理由が、今回の報道姿勢にも表れている。プロのジャーナリストとして「厳しい第三者の目をもって」(客観的な)情勢分析ができていなかったということだ。以前のブログでも触れたが、投票直前には論点は3点に絞られていた。EU軍構想、トルコのEU加盟をトリガーとする移民急増問題、EU加盟分担金である。このうち、分担金については、週35千万ポンドにも及ぶとする離脱派の主張に対して、キャメロンら残留派は「その数字は間違っている。リターンを考慮すれば週1億数千万ポンドで済んでいる。」と反論していた。これに対して、離脱派は、移民急増で膨らむ社会保障費までも考慮に入れなければならないと再反論していた。イギリス国民がもっとも懸念していた問題は、トルコのEU加盟をキャメロンが後押ししていたという事実である。トルコがEUに加盟すると、トルコ内のクルド人との対立がイギリス国内に持ち込まれる。それでなくとも、イスラム系アラブ人はロンドン、パリなどで地下鉄爆破事件を起こしている。それだけは勘弁してくれ、という切実な思いがあった。日本のメディアの中には、immigrantrefugeeは異なる。イギリス人はごっちゃにしているのではないか?と疑問を投げかける向きもあるが、彼らにとって、no differencexenophobiaについては同じ。このJob securityxenophobiaが臨界点に達し、キャメロン首相としてはその民意の圧力に抗しきれなくなったということだ。

 サッカーファンであれば覚えているだろう。昨年7月下旬、レスターのFWジェイミー・ヴァーディが市内のカジノで東アジア人に向かって、「ジャップ、ヨー!ジャップ、出て行け、出て行け、ジャップ」と数分間に渡り連呼した、という事件を英紙サンが報じたことを。

http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/1520545.html

同じFWの岡崎慎司がドイツ・ブンデスリーガのマインツからプレミアー・リーグのレスターへ移籍することが発表され、ヴァーディはレスターのチーム・メイト2人と飲んでいたところで日本人と思われる東アジア人と遭遇して事件は起きた。サンは「racism」と報じたようだが、このとき地方都市レスターで今回の国民投票の結果を予兆する雰囲気が醸成されていた。

 いずれにしろ、イギリス人をバカにしても始まらない。アングロサクソンのエスプリはかつての英連邦諸国+アメリカに通じている。日本企業がイギリスから出て行っても、AIIB参加で関係を強めた中国との連携を深めるだけだろう。むしろ、イギリスが抜けたEUは、ドイツ一強体制となり、フランスとの間で軋轢を強め、弱体化するほかない。ゲルマン主義とラテンは常に対立する。他方で、中国企業はイタリアにも食い込み、既にインテルを傘下に収めている。つまり、今後、EUは櫛の歯が欠けるように弱体化していくことになる。ボリス・ジョンソンも主張しているように、双方、冷却期間が必要だ。さもないと、アメリカと中国+ロシアがヨーロッパを舞台に鎬を削り、緊張が高まるだろう。

 こういう事態に至って、出題者の意図に適合させる能力だけを高めてきた、日本の受験型エリートは独力で情報収集も分析もできない。アメリカ様にお伺いをたてなければ、動けないだろう。霞が関の役人たちはマイケル・ジョナサン・グリーン大先生(CSIS)の意向を忖度して行動する。大先生はGPIF資金を株式市場へ投入せよと教えて下さった。そして、その運用をすべてゴールドマンサックスに任せよと命じられた。安倍政権・財務省・厚労省役人は先生のご指示どおりにGPIF資金を外国株を含む証券市場(ジャンク債を含む)に投じました。国家公務員共済年金原資は別アカウントでリスクヘッヂしていますが、民間の年金積立金はリカバリーできないほどの穴が空いてしまいますたとさ。ここでも「予想外です」。

 現在、安倍政権は、サラリーマンと企業が毎月支払っている厚生年金保険料の半分を株式投資につぎ込んでいる。取得価額の平均は2万円弱だろうか?それが今、15千円。ヘッヂファンドに鞘抜きされ、日本の株価を独りで買い支えている。そればかりか、外国株にも手を出している。今回の円高で、ダブルパンチを被っているはずだ。将来の年金原資に充てるべく、国民から預かった年金資産を大きく目減りさせている。株価が上がったことはアベノミクスの成果だと強調していたが、なんのことはない、国民から預かった金をバクチに費消し、大損こいているのだ。すべて米ヘッヂファンド様に貢ぎましたとさ。これでインフレが到来したら、若い人たちの老後はどうなるか?国民の半数がホームレスになるほかないだろう。

 イギリス経験主義の父、ジョン・ロックは経験を通じて感情が集積され、そこから知性が生まれると考えた。失敗を通じて反省(という感情)も経験する。民主主義という知も感情に根差す。プラトンからデカルトへ至る、アプリオリな知性主義ではなく、経験を通じて知性が獲得されるのだ。猜疑が民主主義の母といわれる所以は、現実から遊離したイデアという理想主義に対する疑念である。EUremoteであり、情報開示・説明責任が徹底されていない。民主主義はやむを得ず代議員という制度をとるが、あくまで直接民主制の代替に過ぎない。結果が為政者の思惑と異なっていたから、ポピュリズムだと批判するのはご都合主義でしかない。賢人統治がいいというのなら、中国を見倣えとなってしまうだろう。そもそも、報道の自由度72位の国がイギリスの国民投票についてあれこれ文句を言うのは筋違いもいいとこだ。


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  • 2017.10.28 Saturday
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