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  • 2016.12.25 Sunday
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クリスマスに涙色のバラの花束を!

 久しぶりに宇多田ヒカルを見た。1224日へ日付が変わり、恒例(高齢)の小田和正、「クリスマスの約束」が始まった。一年に一度の番組。大切な人と一緒に見ようと、TBSにチャンネルを合わせた。今日も、素敵な笑顔だね。「きみ」の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

 夜空ノムコウが流れてきた。小田和正のピアノの弾き語りが途切れようとする命を現世へ引き戻そうともがき抗っている。齢70の生命力が掠れる声を必死でつなぎとめる。SMAPも今年で終焉、因果かと感慨にふける間もなく、宇多田ヒカルが現れた。あっけらかんと、小田とAutomaticをデュエットした。懐かしい。18年前、初めて聞いたとき異次元の才能に驚愕した。興奮する僕を見て、「きみ」は微笑んでいた。2001年暮れ、この番組の初回、この曲にトライした小田が悪戦苦闘した模様がスクリーンに映し出された。産みの親の彼女しか、この子に魂を吹き込むことはできない。「きみ」もそう思うだろ?

宇多田ヒカルはこの一曲だけだろうか?誰もが気になったとき、「花束を君に」がコールされた。

https://www.youtube.com/watch?v=KFp0f-gCASI

 

 愛しい人 愛しい人

 どんな言葉を並べても

 真実にはならないから

 今日は贈ろう 涙色の花束を君に

 

 いつだったか、「きみ」の誕生日に赤いバラを買って帰った。結婚して20年、初めてのことだった。「きみ」は大喜びして「ありがとう」を連発した。駅前の花屋さんは閉まっていた。でも中から光が漏れていた。通り過ぎようとして、ふと「きみ」のことを想った。無理を言って、中に入れてもらい、赤いバラ数本の花束をつくってもらった。

 

 番組の最後の方で、小田+常連組が、Joni Mitchellの「Both Sides, Now」を歌った。1967年の曲。ジョニ・ミッチェルをボブ・ディランに喩えた小田は、「大人は信じられない」とつっぱった若かりし頃のディランなら、ノーベル文学賞の受賞は辞退しただろうとつぶやいた。ディランも75歳、ものごとの両面(both sides)を考え、拒絶せず、授賞式には参加しないと決断したのだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=bcrEqIpi6sg

 

 Rows and floes of angel hair

 And ice cream castles in the air

 And feather canyons everywhere

 I've looked at clouds that way

(お空に浮かんでる雲を見て 美しく流れる天使の髪の毛のよう、いや、アイスクリームのお城みたいにふわふわ、そうでじゃなく羽毛がたくさん、そのときどきで いろいろ 思ったの あのとき わたしはまだ無邪気な子供だった)

 But now they only block the sun

 They rain and snow on everyone

 So many things I would have done

 But clouds got in my way

(でも 雲は太陽を遮るだけ 雨も降らすし雪も降らす、ここかしこ あのとき晴れてくれればうまくいったのに そんなことがどれだけあったでしょう 雲は邪魔もの 今ではそう思うようになってしまいました)

 I've looked at clouds from both sides now

 From up and down, and still somehow

 It's cloud illusions I recall

 I really don't know clouds at all

(でも 思えば どちらも同じ雲なんだよね 良くも悪くも そのときの都合で どちらにでも そう思うと眩暈がする 雲ってなんなの わからない ほんとうに)

(愛も人生も 恋愛も失恋も 成功も失敗も 経験してみて いいのか悪いのか 何もかもが わからなくなったの・・・同じことが良かったり悪かったり どちらが本当?)

 

 宇多田ヒカルは大切な人を失った。でも大切な人も授かった。どれだけの涙を流したことだろう。でも、悲しみの涙は今、うれし涙に替わった。だから、あの人に花束を贈るのだ。涙色の花束を。ありがとうの言葉を添えて。

「きみ」にも贈りたい。僕の大切な大切な人だった「君」に。「ありがとう。僕ももうすぐそちらに行くよ」


法制化を焦る安倍カジノ法案の背後にトランプ、ネタニヤフ、カジノ王アデルソン

 田中宇氏はトランプの背後にイスラエル・コネクションがあると指摘した。私は先のブログで、日本がそのイスラエル・コネクションの餌食にされることになると予想した。しかし、それは未来形ではなく、現在進行形だった。以下がその証左だ。

 外務省のHP http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/il/page4_000469.html

によると、イスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相(H.E. Mr. Benjamin NETANYAHU, Prime Minister of the State of Israel)及び同令夫人は公式実務訪問賓客として来日し511日から15日まで日本に滞在した。

 このHPに掲げられた会談概要には、「カジノ」の「カ」の文字もない。ところが、Global Research, February 08, 2015によれば、イスラエルの日刊紙Haaretz が“Netanyahu Pressured Japanese Regulators to Approve Adelson Casino Bid? ”という記事をネットに掲載し後、即座に削除したこと伝えている。

http://www.globalresearch.ca/haaretz-removes-report-that-netanyahu-pressured-japanese-regulators-to-approve-adelson-casino-bid/5430135

 この記事によると、この日本訪問時に、ネタニヤフ首相は日本の役人にシェルダン・アデルソンに対して早くカジノ・ライセンスを許可してくれるように依頼した、とある。(during Bibi Netanyahu’s state visit to Japan last spring, he approached a senior Japanese official, asking that he help expedite Sheldon Adelson’s application for a Japanese casino license. )ネタニヤフ首相の依頼は、タイミング的にぴったりだった。なぜかといえば、アデルソンが所有する、ラスベガスのサンズ・グループが3か月前に日本当局にカジノ合法化を申請したばかりだったからだ、という。(Bibi’s approach was perfectly timed, following by only three months the Sands’ application to open Japan to legalized gambling (which is currently illegal).

 さて、シェルダン・アデルソンとはいかなる人物であろうか。Wikiによれば、アメリカのカジノ王で83歳。ユダヤ系アメリカ人。Las Vegas Sands Corporationのオウナー。傘下に the Marina Bay Sands in SingaporeVenetian Macao Limitedを持ち、The Venetian Resort Hotel Casino and the Sands Expo and Convention Center.などを運営している。(過去において、COMDEXをソフトバンクに売却している。)メディアにも進出し、イスラエルでは、Israel Hayom紙を、ラスベガスではthe Las Vegas Review-Journal紙を発行している。20168月現在の所有資産はUS$32.2billion35千億円)。

 今回のアメリカ大統領選において、共和党にも民主党にも最大の寄付者がアデルソン氏。とくに、ドナルド・トランプに対する最大の資金協力者がアデルソン氏だった。(He was the largest donor to Donald Trump's 2016 presidential campaign.

 以上の経緯を踏まえ、安倍自民党がなぜ、強行にカジノ法案を通そうとするのか、理由が明白になった。先月18日、組閣に忙しいトランプが時間を割いて安倍首相を呼んだとき、カジノを早く合法化せよと命じたのだ。ポチ安倍は「ワン」といって、とにかく、「カジノ、カジノ」と役人にせっつき、審議時間もそこそこに衆院を通し、参院も時間の問題となっている。ギャンブル依存症云々している暇などないのだ。トランプ−ネタニヤフ−アデルソン様たちがお待ちかねだからだ。Integrated Resort(集合リゾート)こそ、アデルソン様が推進しているビジネス・コンセプトに他ならない。ギャンブルの次は公認売春窟とマリファナ。横浜はマフィアの巣窟となるだろう。暴力、殺人、性病が蔓延する。

 ポチ安倍の尻拭いをさせられるのは一般市民。韓国のパク大統領の比ではない。これでも国民は、安倍自民党を支持するのでしょうか?

<参考>

*カジノ法案と“日本、イスラエル、米国の三国同盟”20161207

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/055a79fa80fc2db40b0a9af3cf3be1a9

*日本のカジノ解禁で儲かるアメリカとイスラエルの戦争屋

http://www.huffingtonpost.jp/saul-takahashi/america-palestine_b_13359618.html

*あまりに恥ずべき安倍・ネタニヤフ会談―米国も呆れる「アパルトヘイト国家」イスラエルとの関係強化の愚:2014/5/13()

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20140513-00035268/


太平洋戦争開戦から75年、安倍首相は日米の英霊たちを前に何を述べようとするのか

 真珠湾開戦から75年、安倍首相は1226日ハワイに飛び、クリスマス休暇中のオバマ大統領に会うという。他国の首脳が現職大統領に敬意を表し、あえて会談申込みを控えていたにもかかわらず、トランプ次期大統領の私邸にまで押しかけ謁見を賜るというフライングを冒した。その罪滅ぼしと今年527日、現職の米大統領としては初めて広島の原爆資料館を訪れたオバマ氏の行為に対する返礼の意味もあるといわれている。

 安倍首相はトランプに面接してもらったあと、ペルーに飛び、首都リマで21か国が集うAPECAsia-Pacific Economic Cooperation)首脳会議に出席した後、アルゼンチンを訪問し、ブエノスアイレスでTPPが自由貿易推進のために必須だと説いた。その中で、アメリカのTPP参加が不可欠とトランプに秋波を送った。ところが、それに呼応するようにYouTubeにアップされたビデオ・メッセージでトランプはTPPをアメリカにとってpotential disaster(災難に等しい)と明言し、撤退することを明らかにした。その代わり二国間FTAを結ぶと言う。

https://www.youtube.com/watch?v=m7-9-_zQPoE

 今、日本では自民党が衆議院を通過させ、参議院でTPPを批准しようとしている。もともと、TPPとは、Brunei, Chile, Singapore and New Zealand4カ国だけの小さな国際通商協定に過ぎなかった。200911月、突如、オバマ大統領が参加を表明し、参加国を12ヵ国に拡大させることになった。日本は参加に躊躇した。なぜなら、アメリカが主導するTPPはオリジナルの4カ国間通商協定とは似ても似つかないアメリカ化政策(アメリカナイゼーション)を加盟国に強いるものだったからだ。アメリカはカーテンの裏で日本の参加を強く求めた。いつの間にか、安保条約も絡み、集団的自衛権行使容認と一体と解釈されるようになった。当時、民主党政権時代、反対する多くの民主党議員を無視し、野田佳彦、前原誠司、長島昭久らが参加を決めた。自民党も安倍晋三ほか多くが「断固反対」と叫んだ。稲田朋美(現防衛大臣)に至っては、自民党の先頭に立ってTPP反対の署名を集め、集会では『国益を守るためには断固反対だ』と演説し、「日本を米国の価値観で染めていいのか、・・・TPPの終着駅は日本文明の墓場」とまで述べた。マスコミは、TPPで困るのは農家だけで、生産性が低い日本の農業がつぶれるのは仕方がない、むしろ消費者にとっては関税が撤廃される食品が安くなるのは歓迎ではないか、と推進キャンペーンを張った。TPPバスに乗り遅れると「鎖国」状態の日本経済にとって死活問題と尻を叩いた。結局、アメリカ側からの要請で、日本からTPP参加を願い出るという体裁がとられたが、謀略といわずしてなんなのか。安倍首相が繰り返すように、TPPは、二大経済大国の日米いずれが欠けても意味がない。アメリカの目的は日本を引き摺りこむことにあった。背後でCSIS−日本会議−電通が暗躍した。民主党が党内プロジェクト・チームを審議未了のまま、前原誠司が一任を求め、参加を決めたとき、キシンジャーが民主党本部に詰めていた。安倍政権にとって代わり、TPPの詳細が決められていくにつれ、情報が出なくなった。「自由貿易」という抽象的なテーゼだけが強調されたが、おぼろげながら、農業はほんの一部に過ぎず、医療、金融・保険、公共事業と多岐にわたることがわかってきた。

その内容については、122日、参議院・TPP特別委員会における参考人意見陳述で簡潔に説明されている。

*西尾正道・北海道がんセンター名誉院長:

「TPP恥ずかしくないのか!党としてウソをつく」西尾正道 参考人12/2参院・TPP特別委員会

https://www.youtube.com/watch?v=wNPaytFjTUI

*醍醐聰・東京大学名誉教授:「TPPバスからの下車を!」

https://www.youtube.com/watch?v=tf7DV5eTtP0

125日、参議院TPP特別委員会における自由党共同代表、山本太郎議員の「TPPはゲームセット、完全に詰んだ!」

https://www.youtube.com/watch?v=LyAsdnv3pxE

 TPPは、最終的に日本の庶民生活を破壊する。日本企業は米企業にとって代わられ、さながら敗戦後の闇市時代に戻るだろう。当時、日本経済は朝鮮戦争特需で潤い、池田内閣の所得倍増計画を現実のものとし、高度経済成長路線に乗ることができた。しかし、輸出主導型経済は1950年代から日米貿易摩擦を引き起こした。低開発国は安い労賃を利用して繊維産業からテイクオフする。日本もそうだった。まず、日米繊維摩擦、鉄鋼、カラーテレビ、自動車、半導体へとメカトロニクス産業へと移っていった。これに対して、貿易赤字に悩むアメリカは金兌換を廃止し(ニクソンショック1971年)、変動相場制(プラザ合意1985年、1ドル240円の時代から一挙に120円へと半額に切り上げられた→要するに、アメリカに輸出された日本製品の現地価格は2倍に値上げられた。)に移行させた。日本側も自主的に輸出を抑制しようと、中曽根内閣で前川レポートを作らせ、内需主導型掲載への移行を企図した。ところが、日本はバブル経済に突入し、過剰流動性からアメリカ資産を買い漁った。世界最大の投資国となった。1988年、アメリカは牛肉・オレンジ自由化を要求し、関税が引き下げられ、安価な牛肉・オレンジが日本国内に流入した。吉野家など牛丼屋が乱立するようになった。と同時に、包括通商法(スーパー301条)を制定し、日本の保護主義的な関税撤廃を求め、報復的な関税引き上げを行い、日本製品の輸入を抑制しようとした。1989年、とうとうアメリカは個々の品目、制度を問題にする従来のやり方から、「日米構造協議」(Structural Impediments Initiative SII)に切り替えた。日米貿易不均衡の是正を目的として日本国内の慣習を包括的に改廃させようとした。1993年に「日米包括経済協議」(US-Japan Framework for a New Economic Partnership)、1994年から「年次改革要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)、2011年、「日米経済調和対話」(United States-Japan Economic Harmonization Initiative)へと日米当局の協議の名称は変わっていった。ここで、協議の名称について、英語と日本語の間に極めて大きなギャップがあることに気が付く。英語で「Initiative」とは「要望」・「対話」を意味しない。「何が何でもやれ」という命令に近い。事実、具体的にいつまでに何をやれと課題を提示され、日本側の有無を言わせず、法改正を迫るのである。2000年、大店法が改正されたのは、トイザラスの日本進出を可能にさせるためだった。製造業への派遣社員が常態化したのも、非正規雇用が蔓延したのも、「規制緩和」=人材流動化というキャッチコピーで労基法を骨抜きにしたのも、すべてアメリカからの圧力である。(竹中平蔵らをエージェントとして使っている)QCサークルなど日本の製造現場から生まれた創意工夫の伝統は潰えてしまった。他方で、ロックフェラーセンターを買収した三菱地所のように、米投資銀行は日本企業にM&Aをけしかけ、詐欺に近い形で日本からカネを強奪してきた。欧米では見向きもされないドラッカーを日本に紹介し、コアコンピタンス経営で次世代へのパイプラインの芽を悉く摘んでしまったのも、工場の海外移転を加速させたのも、すべて同じグループ(CSIS→官僚・大学教授→電通→マスコミ)である。安倍自民党が国会で強行採決を繰り返すのも、背後にこうしたアメリカからの圧力があるためである。イニシアティヴを履行しないと地位が危うくなる。こうして、日本の競争力の源泉は跡形もなく消え去ってしまったというわけである。

 TPPに関して、トランプは撤退を言明している。それにもかかわらず、安倍首相が批准を急ぐわけは、交渉相手のCSISUSTRから指示を受けているからだ。トランプ次期大統領の下で、二国間FTATTPの合意内容から出発することができる。これまでも、日本側は、国内需要以上のオレンジ、小麦、米、大豆、ワクチンなどを輸入させられている。ミニマム・アクセスという合意事項だ。オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどアングロ・サクソン諸国を代表して、アメリカは牛肉や大豆の消費量は人口10万人当たりOOトンだから、日本の消費量もかくあるべし、という論理で日本に年度単位で最低輸入量を割り当てる。日本国政府に無理やり農産物を一定量購入させるのである。実需を超える購入分は廃棄するほかない。その分、税金→国債という日本の借金が積み増される。子宮頸がんワクチンやタミフル、リレンザも同様である。現在のWHO事務局長マーガレット・チャンは香港出身だが、パンデミック・アラートを頻繁にイシュウしている。そのたびに、厚労省は大量のワクチンを備蓄させられている。背後に、CSISUSTR−メルクなどメガ・ファーマからの圧力がある。

 トランプの日本に対する認識は、1980年後半のアメリカ政府の立場と同工異曲である。すなわち、日本市場により多くの外国製品を流入させるほか、アメリカの国益に反する日本国内の慣習を強制的に変えさせる。(Japanese resistance to repeated United States efforts to get Japan to open its market more to foreign goods and to change other economic practices seen as adverse to United States economic interests. )日本国内に存在する2つの反対勢力−海外と競争する力のない(衰退)産業や新興産業の保護をさせないようにする。(two types—those representing inefficient or "declining" producers, manufacturers, and distributors, who could not compete if faced with full foreign competition; and those up-and-coming industries that the Japanese government wished to protect from foreign competition until they could compete effectively on world markets.)日本の健康保険制度について、安倍首相はTPPによって崩壊させないと主張しているが、TPPで事実上、形骸化する。小野薬品/ブリストル・マイヤーズ・スクイブのオプジーボの競合薬である、メルクのがんチェックポイント免疫薬のキイトルーダが悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として年内に承認される見通しである。オプジーボは見込み年間治療費が35百万円から半額に切り下げられたが、2千万円弱かかる。キトルーダはオプジーボ薬価を参考に決定される。今後、ファイザー、アストラゼネカなど欧米系製薬会社は次から次に高額医薬品の承認を求めてくると見込まれている。オバマ大統領が推進しているプレシジョン医療(Precision Medicine)も厚労省に導入させている。各人のゲノムに応じたテイラーメイド医療を指している。たとえば、がんについては、現在の臓器別治療は無意味で、個々の患者の変異遺伝子(表現型)に応じた治療を行う。服でいえば、オートクチュール、患者の個性に合わせ治療薬を決める。ゆえに、高額となる。プレタポルテの標準治療の有効性は否定されるだろうが、貧乏人にはオートクチュールは高すぎて手が届かない。日本の医療制度はカネ持ちだけが恩恵を受けられるアメリカ型に移行することになる。

 20139月、NY証券取引所で“Japan is Back.・・・Buy my Abenomics”と誇らしげに手を挙げ、聴衆に応えた。そのアベノミクスは消費税増税を延期しなければならないほど、効果のないものだった。さらには、ドイツのメルケル首相に財政支出を増やせと忠告し、顰蹙を買った。日本国民には想像もできないだろうが、異次元の金融緩和のつけがこれから日本国民を襲う。大幅な円安時代の到来である。OPECは原油の減産を決めた。原発廃炉費用もオンされる。エネルギー価格は高騰しよう。他方、年金給付額は引き下げられる。現在の年金受給者4人に1人の月額給付額は5万円程度しかない。これでは今でも暮らしていけない。今後、窮鼠猫を噛む−窃盗・強盗・殺人、自殺が横行することになるだろう。

 トランプは、当選後も“The forgotten men and women of our country will be forgotten no longer.” “Be Voice of ‘Forgotten Americans”=忘れ去られたアメリカ国民のための政策を実行すると明言している。グローバリゼーションの敗者はいわれなき敗者であるという。そのターゲットは、日本である。上に述べたように、日本は自国市場を不当に守る一方でアメリカに怒涛の輸出攻勢をかけ、アメリカ国民から職を奪っているというのである。しかし、アメリカでも貧富の格差が増大している。大企業がNAFTAなどを利用してメキシコに工場を移転し、多額の役員報酬を受け取っている。とくに大企業の大株主など上位1%の超富裕層は資産を積み増している。だとすれば、所得の再配分こそ喫緊の課題であるはずだが、トランプを支援しているユダヤ人富裕層は巧みに矛先を日本に振り向けている。しかも、トランプが救済しようとしているアメリカ国民は白人たちである。彼らにとって、深層心理にリメンバー・パールハーバーが刻み込まれている。日本人は狡賢く好戦的な民族なのである。戦後70年、マッカーサーが制定した平和憲法のおかげで戦争を封じ込んできたが、安倍政権は自衛隊(SDF)を正式の軍隊に格上げしようとしている。実は、この動きもアメリカから要請されてのことだが、トランプは巧みに世論を反対方向に誘導するだろう。

 昨年814日、安倍首相の戦後70年談話について、NYタイムズは歴史修正主義と論評した。西欧列強の植民地化に対抗するためやむを得えず「力」に訴えてしまった、と述べたからだ。しかも、戦後生まれが8割を超え、そろそろ謝罪外交は止めようとも示唆した。しかし、太平洋戦争だけで2千万人以上の犠牲者を出した。アメリカも周辺国もその惨劇を忘れてはいない。加害者側が忘れようとしても、従軍慰安婦問題にしても、A級戦犯靖国合祀問題にしても被害国側は忘れない。アメリカもパールハーバーの悲劇は金輪際忘れない。安倍首相の人間性が通り一遍の謝罪外交を皮相的なものにしてしまっている。一日本国民として、安倍晋三という人間を日本国の代表者として、国際舞台に立たせ続けていることは慙愧に耐えない。

 


漱石没後100年、予言どおりに亡びゆく「日本」

 ETV特集「漱石が見つめた近代〜没後100年、姜尚中がゆく」という番組(2016123日土曜日、午後11:00〜午前0:30)を観た。129日は、夏目漱石(186729日〜1916129日)の没後100年目に当たる。 漱石に私淑しているという政治学者、姜尚中が留学先のロンドン、旅順、大連、ハルビン、ソウルと漱石が辿った足跡を巡り、当時の時代の空気を想像しながら、各国の漱石研究家と東アジアと西欧列強という文明の相克に懊悩する漱石の今日的意義を探った。

漱石は18937月東京帝国大学英文科を卒業後、愛媛県松山中学校、熊本県の五高の先生を経て、19009月、ロンドン留学のため横浜港を後にする。ロンドンではコックニー訛りに悩まされると同時に、そもそも漢籍と英文学を同じ土俵で思索の対象とすることはできないと自室に閉じこもり、徹底的に文学の本質を追求した。

 

「余は少時好んで漢籍を学びたり。之を学ぶ事短きにも関らず、文学は斯くの如き者なりとの定義を漠然と冥々裏に左国史漢より得たり。・・・斯の如きものならば生涯を挙げて之を学ぶも、あながちに悔ゆることなかるべしと。・・・漢学に所謂文学と英語に所謂文学とは到底同定義の下に一括し得べからざる異種類のものたらざる可からず。・・・余はこゝに於て根本的に文学とは如何なるものぞと云へる問題を解釈せんと決心したり。・・・余は下宿に立て籠りたり。・・・此一念を起してより六七ケ月の間は余が生涯のうちに於て尤も鋭意に尤も誠実に研究を持続せる時期なり。」(『文学論』序)

 

「漱石発狂」という噂も流され、急遽帰国を命じられた。1902125日にロンドンを発ち、帰国の途に就いた。

 時代背景として、漱石のロンドン留学を挟み、日清戦争(1894年〜1895年)と日露戦争(1904年〜1905年)が起きている。いずれも日本が勝利した。

 番組では、日露戦争後に発表された「三四郎」(1908年)から、一場面を引用した。主人公の三四郎が故郷の熊本から大学入学のため、上京する途中でのできごとである。

 

「・・・窓から見ると、西洋人が四、五人列車の前を行ったり来たりしている。そのうちの一組は夫婦とみえて、暑いのに手を組み合わせている。女は上下ともまっ白な着物で、たいへん美しい。三四郎は生まれてから今日に至るまで西洋人というものを五、六人しか見たことがない。そのうちの二人は熊本の高等学校の教師で、その二人のうちの一人は運悪くせむしであった。女では宣教師を一人知っている。ずいぶんとんがった顔で、鱚または鰤に類していた。だから、こういう派手なきれいな西洋人は珍しいばかりではない。すこぶる上等に見える。三四郎は一生懸命にみとれていた。これではいばるのももっともだと思った。自分が西洋へ行って、こんな人のなかにはいったらさだめし肩身の狭いことだろうとまで考えた。窓の前を通る時二人の話を熱心に聞いてみたがちっともわからない。熊本の教師とはまるで発音が違うようだった。

 ところへ例の男が首を後から出して、

『まだ出そうもないのですかね』と言いながら、今行き過ぎた西洋の夫婦をちょいと見て、

『ああ美しい』と小声に言って、すぐに生欠伸をした。三四郎は自分がいかにもいなか者らしいのに気がついて、さっそく首を引き込めて、着座した。男もつづいて席に返った。そうして、

『どうも西洋人は美しいですね』と言った。

 三四郎はべつだんの答も出ないのでただはあと受けて笑っていた。すると髭の男は、

『お互いは哀れだなあ』と言い出した。『こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない』と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。

『しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう』と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、

『滅びるね』と言った。・・・」

 

 ここに、二人の漱石がいる。一人は西欧列強の一員である強国ロシアに勝った日本を誇らしく思う愛国者「三四郎」。もう一人は、西欧美にあこがれ、模倣する日本の行く末を案じる「広田先生」。東アジア文明=漢籍と西欧列強=英文学は拠って立つところが根本的に異なる。漱石がロンドンで見たものは、「ただ己のみを考うるあまたの人間に万金を与え候とも、ただ財産の不平均より国歩の艱難を生ずる虞あるのみと存じ候。欧州今日文明の失敗は明らかに貧富の懸隔はなはだしきに基因いたし候」という資本主義の矛盾だった。西欧文明の顰に倣うだけでは、こうした矛盾に突き当たり、(日本は国として)「亡びる」運命にあると100年前に見抜いている。大東亜戦争の先までお見通しだった。けだし、慧眼といわずしてなんというべきか。

 19091026日、初代韓国統監の伊藤博文がハルビンで朝鮮民族主義活動家、安重根に暗殺された。漱石は1か月前に、南満州鉄道総裁、中村是公の計らいで満州と朝鮮を旅行した際、ハルビンを訪れている。日清戦争後、日本が推す大院君派に対抗する、閔妃(李氏朝鮮第26代王、高宗の妃)は親ロシア政策を推進したため、189510月、日本軍に殺された。(乙未事変)漱石は閔妃が埋葬された洪陵も訪れている。安重根は、1910326日、午前9時、伊藤の月命日と絶命した時刻に合わせて、死刑執行された。牢獄で自伝、「獄中記(安応七歴史)」と「東洋平和論」(序文のみ)を書き記した。東洋平和論では、日本、中国、韓国という東アジア三国が手を結び、西欧列強に比肩する力を持ちえないか、という理想を掲げている。

 漱石は、日露戦争の激戦地、203高地も訪れ、塹壕跡を仔細に検分している。乃木希典指揮の下、6万もの戦死者を出した。その多くが味方の砲弾に斃れたという。大砲の跡が今も残されている。

 漱石は、日本の富国強兵政策・近代化は外在的であるという。外在的=物真似である以上、西欧文明の奴隷に過ぎない。東アジアで培ってきた文化から内在的に進化のモーメンタムが起こせないものか―甲の波が乙波を呼び、さらに丙の波とつながっていく。文学作品の中に、その哲学をembedしようとしたのではないか。

 漱石が生きていた時代、アジアは欧米列強の植民地となっていた。中国は租借地に分割され、白人が主人であり、中国人たちは召使か奴隷でしかなかった。しかも、白人たちは、下等民族の中国人たちに高値でアヘンを売り、街中はアヘン中毒者で一杯だった。白人たちの居留区は隔離され、安全が確保されていた。米西戦争に勝利したアメリカはフィリピンを我が物にし、ハワイも力でもぎとった。

 当時の日本の指導者は西欧列強がひたひたと足元に迫りくる恐怖に居ても立ってもいられなくなった。このままいくと日本も植民地とされる。北海道はロシア、本州はアメリカとイギリス、九州はフランスに割譲されてしまう。その焦燥が大本営をして大東亜戦争に走らせた。それでは、あのとき、どうすればよかったのだろうか。ハル・ノートの要求通り、中国から完全撤退すべきだったのだろうか。

 トランプはさながら第2のペリーだ。ただし、今回は状況が異なる。中国も北朝鮮も独立国としてアメリカと対峙できている。いつの間にかアメリカの植民地となった日本はどうだろう。この期に及んで、覚せい剤にカジノか。「亡びる」しかないのかも知れない。


恥知らずの安倍首相の足元をみる、トランプとプーチン

 先週木曜日、安倍首相は通訳一人を伴い、トランプ・タワーの最上階へ乗り込んだ。CSIS最高顧問キッシンジャーの仲介で、なんとか面談の時間をつくってもらい、日本国民の税金で購入したドライバー(おそらく、トランプ側の意向)を貢物として献上した。各国首脳は当選お祝いを電話等で述べるにとどまる中、安倍首相は現職大統領のオバマの顔に泥を塗る態度を隠そうとしなかった。いくらレイムダックとはいえ、来年1月20日の大統領正式就任までは表敬訪問は控えるのが礼儀である。選挙期間中、ヒラリー・クリントンには直接会い、陣中見舞いをしたのに対して、トランプ陣営に対しては代理人を介して挨拶させただけだったから、トランプが次期大統領に決まり、早く挽回しようとあわてふためき、なんとか御目通しだけでもと、面談時間90分をねじ込んだというわけだ。(hastily arranged 90-minute meeting/ロイター)トランプ側としては、ファミリーと側近とで閣僚候補名簿をみながら、和気あいあいと組閣のアイデアを交換している最中、極東から「ネズミ」がどうしても会いたいと云ってきたので、仕方なく会ってやったというところだろう。もちろん、大統領正式就任前に具体的に政策的な話などできるはずもない。(Trump official Kellyanne Conway told CBS earlier on Thursday that "any deeper conversations about policy and the relationship between Japan and the United States will have to wait until after the inauguration."/ロイター)在留米軍基地経費負担やTPPなど、口の端にも乗せる隙はなかっただろう。ましてや、オバマ大統領はドイツでメルケル首相らと会談している最中であり、ペルーで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議およびTPP会議で安倍首相とも会うことになっていた。国際的には極めて非礼かつ恥ずべき行動だったといわざるをえない。実際、招かれたわけでもなく、このタイミングで私邸にまで押しかけていくという非常識には海外メディアも?をつけている。

 トランプの対日評価は1980年代のイメージに基づく。すなわち、アメリカから多くの職を奪い、安全保障面ではフリーライダーというものだ。(Some of Trump's campaign rhetoric suggested an image of Japan forged in the 1980s, when Tokyo was seen by many in the United States as a threat to jobs and a free-rider on defense.)だが、安倍首相はアメリカのために日本を大きく変革させようとしてきた、とトランプ陣営は評価している。もちろん、これは日本人に多くの犠牲を強いるものだから、トランプ陣営も驚いているほどだ。(ふつうの国では自国民より他国を大切する政権はあっという間に転覆される。)("Frankly, the prime minister has been more assertive and forthright in trying to make those changes to Japan’s global posture," a Trump adviser said.

 ただ、今回の面談がCSIS/キッシンジャーによってアレンジされたことで、ひとつの謎が解けた。トランプと娘婿のJared Kushner(クシュナー)はともに不動産業に携わってきたということだが、メディア業界と並んで、ユダヤ・ビジネスに牛耳られている。キリスト教信者のトランプが、過去に幾多の破産を乗り越えられたのも、クシュナーらユダヤ資本からの支援があったからだろう。グーグルやフェイスブックなどIT業界は表向き、クリントン支持を表明していたが、経営層(インド系も多いが)はユダヤ系であり、「隠れトランプ」だった可能性がある。しかも、アメリカのマス・メディアはほとんど全てユダヤ系金持ちたちに買収されている。(バークシャー・ハサウエイのウォレン・バフェットは資産のほとんどをユダヤ系のゲイツ&ミランダ財団に譲渡したが、地方紙を軒並み買収している)彼らは意図的にクリントン優勢を伝え続け、最後にどんでん返しを食わせた。Brexitの時と同様、株の大暴落で巨万の富を稼いだのだろう。まさに、ロスチャイルドのワーテルローの戦いの時と同じ手口である。

 トランプ勝利を早くから予言してきた田中宇氏は、トランプはイスラエルとの絆を深めるという。イスラエル国民の居住地をヨルダン川西岸にまで拡大させ、パレスティナ難民を締め出していく計画があるからだという。パレスティナ難民は隣国ヨルダンへ流入せざるをえない。そうなると、シリア、ヨルダン、サウジ、トルコと火種が飛び火していく可能性も出てくる。イスラエルのネタニヤフ首相はロシア出身である。アイン・ラントをはじめ、アメリカにもロシア系ユダヤ人が多い。トランプがプーチンに接近するのも、背後にイスラエルの動向があるからだ。アメリカがシリアから手を引き、イスラエルの伸長をロシア(中国も)が容認すれば、中東問題は解決の方向に舵を切れる。その際、復興資金として日本にもカネを出させようとするだろう。

 オバマ−クリントンでは、中東も北朝鮮も解決できない。トランプを背後で支える大富豪たちの世界戦略は、アジア、とくに日本からカネを巻き上げ、自らの富を膨らませると同時に、イスラエル領土拡大のために中東問題を解決する必要があるというものだろう。つまり、トランプとネタニヤフにとって格好の餌食が日本なのである。トランプのTPP反対は、反グローバリゼーションを意味しない。背後の超富裕層=多国籍企業の利益拡大こそが至上命題だからだ。表向き、「公平・公正」を唱えながら、Take-and-Takeで日本から富を強奪しようとするだろう。すでにGPIF資金を使って、実現損だけで10兆円(公表数字は5兆円)ほどをユダヤ資本に貢げさせたが、GPIFの未実現損はそれ以上の額に昇っている。

 現在、自民党は、農協改革と称して、JA保有資産380兆円を狙うとともに、日本の農業を根底から破壊しようとしている。インドや中南米で行われた、アメリカ資本のための「農業改革」が日本でも行われようとしている。モンサントやカーギルが日本の農家を小作農に落とし、日本の消費者には遺伝子組み換え作物しか手に入らない社会に置き換えようとするものだ。2〜3の成功事例を引き合いに、農家を契約でがんじがらめにして、種子、肥料、耕作手法まで一手に独占的に供給することになる。初期投資のファイナンスも外資が行う。機会均等を訴え、ISDS条項が控えているからNOといえない。だが、契約農家で利益がねん出できるのは、当初の2~3年だけで、あとは高額のロイヤルティーに苦しむことになる。気象リスク、為替リスクなどはすべて農家に転嫁される。農家の創意工夫は一切許されない。話が違うと申し出ても、あとの祭り。土壌もやせ衰え、インドや中南米の農家では多数の自殺者が出ている。しかも、大量の除草剤やネオニコチノイド系殺虫剤を空中散布するため、周辺住民は重篤な健康被害も被る。消費者もは無関係ではない。遺伝子組み換え作物がいやなら、有機栽培作物を買えばいいではないか?しかし、今後、貧富の差がますます拡大していく中で8割の国民は経済的余裕がなくなる。とても有機作物などには手が届かなくなる。

 安倍首相はペルーで自由貿易の効能を説いた。その中で、「日本は自由貿易の成果で貧困率が下がった」とのたまわったという。とんでもない。東京五輪招致のスピーチで「福島の放射能はアンダー・コントロールされているから安心」とウソをついたのと同じノー天気な発言だ。どんなに統計数字を弄ぼうが、相対的貧困率は急上昇している。家族全員が無理心中、餓死というニュースも珍しくない。これから、日本は国民の8割が貧困に苦しむことになる。有機栽培作物は高過ぎて庶民の手には届かなくなる。しかも、たとえば、豆腐の「遺伝子組み換え」の表示もなされなくなる。それが、アメリカ=国際標準。拒否すれば、ISDS条項をちらつかされる。消費者は遺伝子組み換え作物=自然には存在しない細胞・DNAを持った食物(穀物、野菜、魚、肉)を食べるほかない。それらを取り込んだ人間の体細胞がどうなるか。がん、免疫系、内分泌系の疾患が増えるだろう。既にアメリカでは、黒人に多いがん種が指摘されている。遺伝子組み換えに染まったジャンク・フードが影響していると考えられる。

 そればかりでない。日本の農村風景はモノカルチャーという単一栽培作物が続く大規模農場に変貌するが、台風・長雨・氾濫・地震・津波・火山爆発といった天変地異や農薬耐性菌・害虫といった自然環境の変化に弱くなる。広範囲で不作となれば、これまで以上に輸入に頼るほかない。そのとき、国力の弱った日本では為替も円安に振れている。世界の食糧事情もある。おそらく、国民の需要を賄いきれない。餓死者も稀ではなくなる。

 もうひとつ、駆けつけ警護が容認された自衛隊はシリアなど中東地域へ派遣されることになるだろう。ISISとの戦闘はもちろん、がれきの山となったシリア再建に尽力せよとトランプ大統領が安倍首相に厳命すると、「イエス、サー」と最敬礼で応じるほか選択肢はない。自衛隊員に多数の死傷者が出ることは明白である。

 NYでトランプとの面談を終えた安倍首相の表情は沈んでいた。リマでプーチンと会談後の安倍首相は、事前にマスコミに流した北方領土・二島返還オプションなどの期待はどこかへ飛んで行ってしまったように「難しい」、「一歩一歩」という表現にトーンダウンした。トランプにも、プーチンにも足元を見られ、相手からの要求を唯々諾々と呑むしかない。日本国民の社会保障費を削り、アメリカから高額の武器・ジェット機・オスプレイを大量に買わされ、アメリカに指示されるまま諸外国にODA援助を行い、日本国の借金を増やし続けるばかり、そして、自衛隊員の命と農民の命も差し出すというのだ。プーチンに対しても、領土返還をちらつかされながら、共同経済開発をもちかけられ、カネを出せと脅されている。

 山口県民数十万人の支持をとりつけただけの人間が1億2千万人の命を蔑にしようとしている。それでも、国民は安倍首相を、そして自民党を支持し続けようとしている。この国の民に比べたら、韓国民の方がよっぽど民主主義を体現しているといえよう。


トランプ政権と今後の日本

 ドナルド・トランプが次期大統領に決まって1週間経過した。1年をかけたマラソン選挙戦の最後は、泡沫候補がベテラン政治家を鼻の差で差し切った。マスコミは一様に「予想外」と驚きを見せる。イギリスのEU離脱国民投票のときも、そうだった。結果を見通せなかった「専門家」は、「理性より感情で選んだ」、「ポピュリズム」、「hidden votersの存在(隠れトランプ)」などと言い訳をしている。

 ヒラリー・クリントンの得票数は61百万票に対して、トランプの得票数は6千40万票と60万票も少ないが、獲得した選挙人は290と過半の27020上回った。大統領選と同時に行われた上院でも共和党51議席に対して民主党48、下院でも共和党239議席に対して民主党193とアメリカの政治シーンは共和党色で塗りつぶされた。合衆国国民の半数は8年に及ぶオバマ民主党政権の継続を明確に拒否したのだ。これだけ大きな潮流を「専門家」たちは読み切れなかった。

木村太郎は半年以上前からトランプ勝利を予想した数少ないジャーナリストの一人だった。当時、ヒラリー・クリントンの不人気が民主党対立候補のバーニー・サンダースに対する支持へつながり、他方でフロリダなどカギを握る州における共和党員数の増加を招いていた。サンダースがクリントンを批判すればするほど、民主党支持者の熱意は失われ、アンチテーゼとしてトランプ+共和党の支持層は拡大していった。

 ところが、マスメディアは最後までヒラリー・クリントン勝利を予想し続けた。113日の ロイター/イプソスの世論調査では、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニアなどを含むRust Belt=ラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれる米中西部・北東部地域ではNAFTAなど自由貿易協定のために工場の海外移転が加速し、国内雇用が失われているとのトランプの主張が住民の間にも浸透していたにもかかわらず、クリントン優勢を伝えていた。ところが、同じ記事の末尾で別の世論調査(リアルクリアポリティクス)を引用し、クリントンのリードは縮小し、オハイオではトランプが逆転したと伝えていた。

 ヒラリー側の敗因分析では、FBIのディレクターJames ComeyE-mail問題を再燃させたあと、訴追の可能性を打ち消したことにあるとするが、ヒラリー・クリントンが国務長官時代、ベンガジの米在外公館襲撃事件(2012年)の責任をもみ消したときから、機密情報に対する取扱いに疑惑の目が向けられていた。国家の機密情報を公私の区別なく、自宅のサーバーを使ってやりとりしていた。機密情報で私腹を肥やしていた可能性も指摘されていた。もとより、White-water事件やClinton-Foundationにはクリント家にまつわる幾多の疑惑がささやかれている。

 その結果、民主党優位とみられていたミシガンを落とし、オハイオ、ペンシルベニアなどラスト・ベルトを含む、スイング・ステイツでトランプが勝利を重ねて行った。その原動力は白人にある。といっても、日本で流布された低所得・高卒白人ブルーカラーというグローバリゼーションの波に乗れなかった敗者たちばかりが支持層だったわけではない。全米の投票率48%、その7割が白人だった。トランプ+共和党は、大幅に党員を増やしたスイング・ステイツで白人中心とした戦略的な選挙活動を行った。不法移民、イスラム系住民などマイノリティを攻撃し、日本など他国を敵に回し、”Make America Great Again”と連呼した。ここでいう、Americaとは白人コミュニティを指す。トランプの頭の中では、黒人やヒスパニックはアメリカ国民ではないのだ。他方で、ロシアには親近感を示す。白人=コーケイジアンとして同類項だからだ。アメリカ国内の白人はすべてヨーロッパにルーツを持つ。勿論、ロシアからも大量の白人移民が流れ込んでいる。米軍駐留経費負担の問題では、ドイツもやり玉に挙げているが、行きがかり上挙げただけで、日本に対するほど激しくはない。トランプの底意は、日本はメキシコから来た不法移民と同様、善良なアメリカの白人から職を奪い、安全保障のフリーライドしている、狡猾な国なのだ。これが、エリート層を含む白人たちの強い支持につながった。トランプの歯に衣着せぬヘイト・スピーチは白人たちの本音を代弁しているといっていい。

 20年前の1996年、ハーバード大学のサミュエル・P・ハチントン教授はその著書「文明の衝突」で、冷戦構造の終結のあと人種間の争いの時代に突入すると予言した。その中で、日本は東西陣営の狭間で右顧左眄し、最終的には中国側に就くと見做された。背後に、パール・ハーバーがあり、黄禍論がある。ビル・クリントン大統領は、通商摩擦解消のため、日米構造協議を通じて日本経済の弱体化を図った。その延長線上にTPPがある。アメリカの日本社会破壊の最終兵器がTPPだが、トランプはそれも手ぬるいという。安倍政権は自動車など一部の産業を守るが、金融・保険・農業などは英米巨大企業の草刈り場になっていいとを承諾した。原発もGEなどにロイヤルティを支払うために存続させ、再稼働させるほかないが、地域住民が放射能汚染されてもGEなどに一切の責任はないことになっている。あるいは、英米の巨大製薬企業が販売したワクチン接種で副作用が生じても、被害者に対しては日本政府が補償を肩代わりすることになっている。ワクチンにしても、タミフル・リレンザにしても、アメリカ側の要求に応じて、莫大な量を購入させられている。グローバリゼーションは「自由」貿易のはずなのに、小麦も国として、アメリカが要求する価格水準で一定量購入しなければならない約束になっている。あるいは、オスプレイなど防衛装備品についても、アメリカ側から要求されるままに言い値で言われる数量を購入しなければならないし、解禁された武器輸出という形でアメリカから武器を購入して第三国へ無償で支給してあげなければならない。そればかりでなく、アジア、アフリカ、中南米などに対して、ODAという形で何兆円もの援助をしなければならない。これも日米安保に従い、アメリカの同盟国を維持するため、日本が肩代わりする必要があるからだ。一応、借款という法形式をとるが、のちにすべて返済義務を宥恕されている。

 これだけの負担をさせておきながら、なおもトランプが米軍駐留経費の全額負担を要求するのは、本音では日本を盟友とは考えていないからだ。対中国で日本の役割は防波堤に過ぎない。彼によれば、日本の政治家・官僚をびびらせれば、自国民を犠牲に、いくらでも媚を売ってくる卑屈な人種である。原発もアメリカとの密約で廃止できない。福島第一原発一基だけの廃炉費用でも15兆円以上もかかる。日本全国に55カ所も原発がつくられているが、その廃炉費用は一切考慮されていない。そればかりではない。原子力発電所の建屋がある場所・周辺は未来永劫使えない。未来永劫、放射能漏出汚染リスクがつきまとうだけである。北朝鮮からミサイルが着弾すれば日本は壊滅する。ドイツではマインツ大学の20年に及ぶ調査で、原発周辺住民のがん罹患リスクが有意に著しく高いことが立証されているが、日本政府はがん登録制度がないことを理由にデータを開示していない。福島原発事故で東日本でがん罹患リスクが顕在化しつつある。がんの生涯罹患率は2人に1人と発表されているが、この数字は3人に2人に近づいている。若くしてがんを発症する人も増えている。厚労省がいうように必ずしも高齢化だけが要因ではない。

 安倍政権は戦後史上、もっとも親米の傀儡政権である。トランプ大統領の下では、いよいよ露骨に保身を図るだろう。すでに年金改革法案は衆議院を通過した。年金の受取額は年15万円ほど減額される。多くの若者は知る由もないだろうが、民間企業従事者が退職後年金生活に入った場合、年間受給額は2百万円ほどである。ここから、15万円引き下げられるのである。デフレだからと引き下げられ、さらに賃金が下がっているからと引き下げられる。デフレでも野菜など食料品価格は上がっている。消費税も10%に引き上げられるが、そこでとどまるわけではない。さらに15%までは一本道となる。しかも、政府・日銀はインフレを志向している。モノの値段を引き上げようとしている。貯金は目減りする。そうなると、円安で輸入品価格も上がり、公共料金も引き上げられる。最近、メルク、GSK、ファイザーなど外資系メガファーマのCMでわかるように、日本政府に働きかけ、補助金を出させて高齢者にワクチン接種を奨めている。これも税金である。小野薬品・BMSのオプジーボに法外な薬価をつけさせ、すぐにその競合薬の承認申請をしている。アンカーリングという手法である。オプジーボの価格が目安となるから、薬価を高く設定できるというわけだ。まさにアメリカ型医療の典型が導入されようとしている。過去に公務員だった人々を除き、多くの人々の老後は悲惨なものにならざるをえない。(厚生年金保険料は所得の上限が低いため、公務員に比べ受給額は著しく低い。このため、過去において民間では、大企業を中心に確定給付型年金+厚生年金基金で受給額を増やしていたが、運用損でほとんどすべての厚生年金基金は解散し、確定拠出型に切り替わってしまった。若い人たちは年金で老後生活は維持できない。これから原発の廃炉費用も電気料金にオンされる。老後の働き口もない。)

 

 トランプ旋風ではっきりしたことは、アメリカ国内が分断されているということ。トランプは減税などによって、白人層の所得を引き上げる政策を強行に推し進めるだろう。その結果、アメリカ国内の黒人・ヒスパニックなどマイノリティーの生活はますます困窮する。アメリカに進出した日本企業については、すでにオバマ政権下でも、カルテルなど談合疑惑をおとり捜査によって厳しく暴き、多額の懲罰金を課すと同時に、駐在員を帰国させても召喚し、刑務所に収監しはじめている。トランプ大統領の下では、過小資本規制など日系企業に対するバッシングを強化するとともに、TPPで合意した内容以上に厳しいテイクを要求するだろう。日本国内でも、官公庁の入札にあたって談合がささやかれることが多いが、TPPでは、そのすべてが俎上に上り、応札できなかった英米企業が日本国を訴え、アメリカの息がかかった国際裁判を通じて得べかりし利益を支払わされるとともに、嫌疑がかけられた日本企業のアメリカ子会社にも課徴金がかけられるだろう。つまり、アメリカは自由貿易を謳いながら、国内向けは実質保護主義を推進し、日本市場に対してはすべての非関税障壁を撤廃させ、米企業に有利にアクセスさせるよう強く要求してくるはずだ。

 今回、隠れトランプの存在が指摘されたが、隠れトランプ同士は事前にインナーサークルで交流し、トランプ勝利を確信していただろう。白人の中・上流層はネットやSNSで監視されていることを熟知している。世論調査であっても、後日追跡されるリスクがある。つまり、調査会社を通じて、個人情報が漏出していくことを危惧している。先に上げたロイターの調査でも、自らを不法移民であるとしながらトランプ支持者であるといった不可解なレスポンダーもいたと指摘されている。今後、この傾向がますます強まるだろう。ビッグデータ収集といいながら、個人データを商品として再利用しようとする調査会社の方に問題があるからだ。詐欺から国家による介入まで無限のリスクを引き受ける覚悟がないと正直に答える人はいない。サンプルによって母集団を推測しようとする世論調査は役に立たなくなった。それに代わって、ネットから個人情報を収集し、スティルス的に分析し、個々人をターゲットにする選挙戦術が実施されるだろう。ネットのバックドアから秘密裡に情報取集できる現政権が大衆を自在にコントロールしていく姿が近未来の選挙戦術ということになるだろう。安倍政権は長期政権となるはずだ。


Tears In Heaven  Eric Clapton

Would you know my name if I saw you in heaven?

お父さんも天国に来たよ 誰だかわかってもらえるかな (天国にいるはずなのに涙が流れてくる)

 

Would it be the same if I saw you in heaven?

天国でも 以前のようにお父さんの子供のままでいてくれるかな

 

I must be strong and carry on

めそめそなんかしていられない 父親として強く生きなきゃって思うのです (その時が来るまでは)

 

'cause I know I don't belong here in heaven

なぜって お父さんもまだ天国の住人ではないって わかっているから

 

Would you hold my hand if I saw you in heaven?

でも お父さんが天国の住人になったら 手をとって

 

Would you help me stand if I saw you in heaven?

この老いぼれを立たせてもらえたら ありがたい

 

I'll find my way through night and day

そのときまで お父さんは眠れない夜と昼をなんとか耐えて生き抜くつもりだよ

 

'cause I know I just can't stay here in heaven

なぜって お父さんはまだ天国に居続けるわけにはいかないとわかっているから

 

Time can bring ya down

生きていれば打ちのめされる時もあるし

 

Time can bend your knees

立ち上がれないほど打ちひしがれる時もある

 

Time can break your heart

どうしようもないほど悲嘆にくれる時もある

 

Have ya beggin' please beggin' please

そんな時は 神様どうかお願いです 助けてください と祈る続けるしかありません・・・(あの日がそうでした お父さんたちはなんとか 君の命を救ってくださいと神様に祈りつづけました)

 

Beyond the door there's peace, I'm sure

あのドアの向こう側にある天国に行ければ どんなに楽かと思います

 

And I know there'll be no more tears in heaven

だって 天国ではもうこれ以上涙を流すこともないんだから (だから すぐにも天国に行って君に会いたい 抱きしめたい)


葛西りまさん、13歳の笑顔

  青森県黒石市は人口35千人ほどの小さな町。浪岡中学校は黒石市の北部、青森市と弘前市の中間点に位置する。「葛西りま」さんは、825日朝、JR奥羽線北常盤駅で列車に飛びこむまで、浪岡中学の2年生だった。享年13歳。

  黒石よされという「流し踊り」祭が815日から20日まで開催された。この祭りをテーマにした写真コンテストが企画され、応募した写真の中に「葛西りま」さんの遺影があった。カメラマンは「りまさん」と面識はなく、偶然の出会いが印象的な写真として残った。「表情の明るさ、漂う熱気、精いっぱい楽しむ姿にひかれ」てシャッターを押したのだという。コンテスト主催者側の目にもその素晴らしさが伝わったのだろう。8つ設けられた賞のうち最高の黒石市長賞が授与されることになった。1010日ごろ、遺族に連絡したところ、主催者側は被写体の自殺を知る。そこで異論が噴出した。須藤重昭・元黒石観光協会長の「写真が公になり、さまざまな臆測が出ることを懸念した」という声に押され、村上信吾・大会実行委員長(黒石商工会議所会頭)らが内定取り消しを決定、黒石市長の高樋憲も了承し、遺族に授賞撤回が伝えられた。

  主催者側から遺族に伝えられたキャンセルの理由は「(自殺した人の写真は祭りの趣旨に)相応しくない」ということだったという。「りまさん」の49日に届いた内定通知に「娘が生きた証」になると喜んだ家族は一転悲嘆にくれた。それをきっかけにマスコミ報道が過熱することになった。

 遺書が遺されている。小学校時代から「手踊り」が得意で、チームの一員として東京で開かれる全国大会への出場も決まっていたらしい。その仲間に詫び、家族に詫びている。鉄道自殺では遺体の損傷が激しい。そのこともわかっている。「綺麗な死に方すらできないけど 楽しい時もありました。」とスマホに打ち込んでいる。

 遺書には「特別虐待があったわけでもない」とあるが、報道によると、

・トイレで暴力を振るわれ

・所持品をゴミ箱に投げ入れられ

・答案用紙を黒板に貼られ

・おカネを奪われ

・うそをばら撒かれ

・万引きを強要され、拒否すると殴られ

・部屋を荒らされ

・自殺の練習をさせられ

といった「いじめ」が繰り返されていたという。

 

  このような非道な「いじめ」は浪岡中学に入学後、始まったらしい。親も学校に相談していたらしいが、当時の担任(13組)の岡本知恵教諭、24組担任の駒井陽子教諭、校長の齋藤実氏らは見て見ぬふりを続けたらしい。この校長は「葛西りまさんは死にました」と生徒らに伝えたという。人間として一片の呵責も感じられない無機質な言葉に唖然とするが、この学校では「りま」さんの死後も全校を上げて「いじめ」を繰り広げている。なんと通常通り文化祭「浪中祭」を開催し、いじめ主犯格の工O千江梨に英語スピーチをやらせたいうのだ。同級生を死に追いやった「いじめグループ」の工O千江梨/成O吏那/有O空/山O瑠花/工O青馬/千O倫太朗/山O陸人らに反省の機会を持たせる意味で、喪に服させなければならない期間である。しかも、この浪中祭の催しとして、故人が愛した「手踊り」を披露させたというではないか。

  この校長は(学校経営)理念として哲学者(教育者)森信三の言葉を掲げているが、生徒を死に追いやっていながらなんらの反省もなく、時宜も弁えず学園祭を開き、学校を生徒の魂を救えない不浄の場とし、保護者に対して無礼な態度は人倫に悖るといわなければならない。「時を守り 場を清め 礼を正す」という言葉を生徒に垂れる前に自戒すべきだろう。

  13歳といえば、物心ついてから10年も経っていない。いじめた側も、いじめられた側も世の中のごく一部分しか経験していない。

いじめっこらの中には家庭でDVを受けていた子もいるだろう。小学校時代、いじめられていた子らもいるだろう。「やらなければ、逆にやられる」という思いもあっただろう。こうした短絡的な激情を後押しするモンスター・ペアレントを持つ子らが「いじめっこ」になることが多い。モンスターが背後についていると思えば、教師たちのいじめっこ対応も及び腰とならざるをえない。子供たちは教師のビビる心を見透かしている。ましてや、臭い物には蓋がモットーの校長の下にあっては、「見て見ぬふり」をするどころか、「自殺の練習」の手助けをする教師もいたかも知れない。過去にそうした事例もあった。この学校には「悪魔の学校」というレッテルが貼られているというネット情報もある。

  この種の「いじめ自殺」は後を絶たない。多くの場合、学校ぐるみ、地域ぐるみで「いじめられっこ」を自殺に追い込み、事前に相談を受けていたにもかかわらず、学校は「いじめはなかった」ことにして野放しにするのが常である。だから、ますますエスカレートする。しかも、いじめっ子のバックについているモンスター・ペアレントたちは校長・教師と一体となって、いじめを苦にした生徒が自殺した後も、執拗に自殺した生徒やその家族に罵詈雑言を浴びせる事例が多い。利害が一致する運命共同体となるからだ。

  なぜ、こうした悲劇が繰り返されるのか。世の中にはサディストという人種がいる。いじめっこのDNA、育てられた環境、すなわち、右脳、前頭前野、扁桃体を結ぶネットワークが断線しているか、その活性が弱ければ、他人が苦しむ姿を快感に思う人種が生まれる。オキシトシンの分泌が弱く、他人を思い遣るこころも持てない。しかも、性ホルモンの分泌が高まる思春期には、心身ともにアンバランスとなる。DVを受けている子供の場合、学校でその代償行為のターゲットを探す。教師にはいじめをコントロールする能力はない。そうした生徒同士が性ホルモンに操られ暴走し出すと、そのうねりは集団を巻き込んでしまう。そこには知性は働かないから、「いじめはしないように」と言葉で言っても通じない。(浪岡中学の担任教師は、生徒たちに「いじめると自殺するかも」と言っていたとされるが、無神経にもほどがある。)子供たちには猛り狂った情動しか働かない。といって、教条主義のリーダーの下では、教師たちは「形だけの」マニュアル教育に忙しく、いじめっこたちを矯正しようとする熱意・動機などあろうはずもない。自らの教師人生が大過なくいくようにという打算しかない。(これも保護者・生徒たちに見透かされている。)いったい、今年に入って何人の中高生たちが自殺もしくはリンチ殺人の犠牲者となっただろうか。

  だいぶ昔の話になるが、わたしの子供も小学6年生の転校後間もなく、いじめに逢った。いじめはエスカレートする。エスカレートする前に対策を講じなければトラウマとなって一生苦しむことになる。そのように考え、学校を休ませることにした。学校から「いじめはやめるように指導しましたので登校させてください」と依頼があったが、無視した。重要なことは、同級生たちからどんな誘いがあっても乗らないことである。「いじめ」は必ず再燃する。いじめっこらには、いじめた快感が集団の記憶として残っている。校長と担任と面談した結果、人格・能力の観点で不信感以外懐かなかった。彼らに任せても解決するはずがない。当然、いじめっこたちと同じ中学校へ通わせるわけにはいかない。校長は無責任にもしきりに「公立」を奨めたが、「はい、はい」といって取り合わず、遠くの私立に行かせた。その後、子供は一度もいじめに逢うこともなく、勉強に部活に楽しい学園生活を送ることができた。いい私立(学校にもよるが)は父兄の評判を気にするから、いじめっこは退学させられるが、公立の教師は教育委員会を気にするだけである。

  「いじめ」は日本だけの問題ではない。世界中で起きている。教師にも止められない。だとすると、最後の砦は親しかない。いじめがエスカレートする前に地域社会と訣別させる覚悟がいるだろう。学校を離れても、いじめっこらはスマホやSNSで執拗につながりを持とうとする。転校しても、次のターゲットを見つけようとする。いじめられっこの友人がそのターゲットとなるケースが多い。そして、その子から、転校後の情報を聞き出そうとする。その輪を断ち切らなければならない。それは親にしかできない。

  現代日本では、「いじめ」、「ストーカー被害」、「DV」に対して、学校・警察・社会福祉事務所といった公的機関ではほとんど解決できない。自力救済が認められていない以上、被害者は孤独の中で恐怖に苛まれながら、ただ死を待つのみなのだ。(だからこそ、アメリカでは弱者が銃で自己防衛する必要性が銃犯罪のリスクを凌駕している。)その中で、唯一、親だけが「いじめられっこ」のsafe havenとなり得る存在なのだ。ただし、親に迷惑をかけたくないと思う、芯から心優しい子供は黙って死を選ぶことになる。

 写真の中の「りま」さんの笑顔は泣き顔にも見えてくる。今生最期の手踊りと心に決め、必死の笑顔をつくっていたのかも知れない。あなたの魂の叫びが聞こえてきました。https://www.youtube.com/watch?v=JxPj3GAYYZ0

Please rest in peace.


乳と卵−性がつなぐ未来に何があるのだろうか?

 受精卵となったとき、性染色体はXXXYのいずれかに決定される。生物学的に女もしくは男としての「生」がスタートする。女の子の場合、お母さんのお腹の中にいるとき、原始卵胞の数が700万個もあり、それがおぎゃあと生まれるときまでに100万個まで減ってくるという。その後も思春期に10万個、アラフォーで1万個という具合にどんどん減り続けていく。生理1回で1000個の原始卵胞が減少していくという計算らしい。50歳前後で閉経する。つまり、卵巣の中の卵胞が消失し、永久に月経がストップする。

 川上未映子「乳と卵」に出てくる3人の女性。姉の巻子とその娘、緑子とわたし。終始、わたしの脳が語り続ける。この小説家に新海誠が魅かれた訳がわかるような気がする。

 場末のスナックでホステスとして働くシングルマザーの巻子。声を出さず、筆談でしか返事をしない緑子。「お母さんが心配だけど、お母さんみたいになりたくない」でも、お母さんを助けたい。でも、こわい、くるしい、生まれてこやんかったら、よかったんとちやうんか・・・。

 女は卵子をつくるために生まれ、ひたすら受精を待ち、子供を産み、育てるためにお乳を出すしかないのか。太古からそういうふうに定められてきた。そんな「不条理」を受け容れられない娘の緑子は気が付くと自分も女だった、それが嫌で嫌でたまらない。40歳にして驚くほど痩せ衰え、cachexicでさえある母親は「がん」であることを暗示している。それなのに豊胸手術を受けたいという。男?いや、そうではない。「お母さん、ほんまのことゆうてや」、緑子は絞り出すような声で云う。母親は云えない。豊胸は女としての願いだが、口実に過ぎず、娘を実の父親に託しに来たのだろう。でも口には出せない。二人は泣きながら卵を自分の頭にぶつけ割り続ける。何個も何個も。周囲は割れた卵の黄身、白身、殻で惨憺たる状況。「わたし」は黙ってそれを見ている。消費期限切れ寸前の鶏卵は無精卵。貧しく、生きていくのがやっとの3人。ミトコンドリアは同じ。

 これからも、昨日までの人生を引き継いで生きていく(つもり)。でも、巻子が「がん」で亡くなったあと、緑子はどうなるのだろう。学校でのいじめはどうするのだろう。誰も助けてくれない。登校拒否。中卒で水商売に入り、お母さんと同じシングルマザーの道を辿るのだろうか。「わたし」も閉経が近い。新しい仕事は水商売だろう。社会では3人とも弱者でその存在を否定されている。崖っぷちの「人生」を生きている。「なんのために・・・生まれてきたの?」

 

 男も同じだ。なんのために「生」があるのか。「性」のため、女を受精させるため?女の乳房で興奮するようにできている。男根主義などという言葉で誤魔化す必要もない。扁桃体をノックアウトしたサルは、食欲と性欲しかなくなるという。ひたすら食べて、セックスする。東大でも慶應でも、男子学生が集団で女性を襲って何食わぬ顔をして日常生活を送っている。いや、学生だけに限らない。すべての世代で地位も名誉も関係なく、男も女も盛りのついた猫のように異性を求めて猛り狂っている。男性ホルモン(女性ホルモンも男性ホルモンからつくられる)とドーパミンに支配された社会。こんな世の中に生まれた子供たちはみんな、緑子のように「生まれこやんかったらよかった」とつぶやいているかも知れない。それは昔のように単なる思春期のメランコリイではなく、「生」と「性」が露骨にゆがめられ、誰しもが明日は電車に飛び込むか、殺されるか、わからない不条理が支配する社会の中にいることに感ずいている。少子化はそうした時代の空気を反映した結果だ。

 オランダでは、20代の女性が安楽死した。幼少期にレイプされ、トラウマとなって苦しみ続けてきた。両親も医者もその苦しみを癒すことができなかった。(Netherlands Sex Abuse Victim With ‘Incurable’ PTSD Allowed To Die By Euthanasia)ベルギーでは安楽死に年齢制限がない。10代の女性が安楽死した。ベルギーのパラリンピアンで金・銀メダリストMarieke Vervoort37歳)は来年の安楽死を公言している。カリフォルニアではALSで苦しんでいる41歳の女性が安楽死を選択し、お別れのパーティを開いた。

 日本でも安楽死の法制化が検討されている。群馬大学腹腔鏡手術殺人事件、相模原障害者殺人事件、大口病院連続殺人事件と、時代は優生思想に傾いている。安楽死法は悪用・濫用されるだろう。だが、この時代の流れはいかんともしがたい。


がん代替療法について

  10月に入り、街にはちらほらハロウィーンHalloweenの装いが見え隠れし始めた。その起源について諸説あるが、古くケルト人たちが冬の到来を告げるお祭りとして10月末に行ったのが始まりとする説が有力だ。16世紀末に発表されたシェイクスピアの喜劇『ヴェローナの二紳士』(The Two Gentlemen of Verona)にも出てくる。日本にもディズニーランドの催しとして輸入され、クリスマス、ヴァレンタインズ・デイなどともに季節的行事として浸透している。ハロウィーンのコンセプトとしては、亡くなった人々の魂との交流である。悪魔、ミイラ、妖怪、妖精に扮した子供たちが家々を訪問し、トリック・オア・トリート(Trick-or-treat)と叫ぶ。トリック(悪さ)されたくなければ、「お菓子をくれ」と要求する。エンターテインメントの形式をとっているが、元来、今は亡き人々に対する鎮魂祭である。こうした祭事は世界中にある。日本ではお盆がそれに相当するだろう。

 さて、2008年、Trick or Treatment?(トリック・オア・トリートメント)という本が刊行された。副題にAlternative Medicine on Trial「代替医療を裁く」とある。著者は、Edzard Ernst and Simon Singh。代替医療も手掛けた経験を持つ医学部教授とサイエンス・ライターのコラボ作だ。日本では2010年に「代替医療トリック」(新潮社)として訳出され、2013年に「代替医療解剖」(新潮文庫)として文庫本化された。どちらの日本語タイトルでも原題のエスプリが消えているのが残念だ。「インチキ医療で本当にいいの?」というのが原題の含意だろう。

 さて、前回のブログ・エントリーで標準療法こそ「がん」を悪化させ、悪液質を招く元凶だと指摘した。その理由を一口でいえば、手術、抗がん剤、放射線という三大療法のすべてが身体を傷つける(侵襲的=invasive)ものだからだ。

 しかし、現代日本では、がんが見つかったとき、患者本人や家族が標準療法以外の(補完)代替医療(CAMComplementary and Alternative Medicine)を選択することは困難である。医学界が定めた標準的なプロトコルを事実上「強制」されるからだ。「残念ですが、あなたは『がん』に侵されています。ステージはOOです。」と告知され、OOに機銑犬入れられる。そして、ステージ鍵奮阿任△譴弌⊆蟒僂塙海ん剤が奨められる。「ステージが若ければ、完全寛解も期待できます。抗がん剤でがん腫瘍を小さくして切除し、術後にも抗がん剤で残ったがん細胞を死滅させることができますから。抗がん剤も日進月歩でいいものが次から次へ開発されていますので、大丈夫です。納得されましたか?『患者様』」とインフォームド・コンセント文書に署名させられる。この時点で、エツァート・エルンストとサイモン・シンが信奉する「標準療法」を拒否できる患者が何人いるだろうか?

 しかし、主治医の説明には多くのトリックが含まれている。現在、使われている主要な抗がん剤のほとんどは4050年前に開発されたものである。当時、がん治療薬はなく、どうせ死亡するのだからと、アルキル剤(マスタード・ガス成分)を主とする細胞毒を処方したのが抗がん剤の始まりだった。現在に通用する二重盲検ランダム化比較臨床試験など実施されたか疑わしいまま、ガイドラインに取り入れられた。投与後28日間以内に腫瘍体積が半分に縮小すれば抗がん剤として効果があったとされ、薬として承認されるが、その割合は100人中20人でOKなのである。つまり、8割の人には効かない。しかも、効いたとされる2割のがん患者にも延命が約束されたわけではない。多くの場合、5週間目以降、リバウンドして腫瘍が大きくなるか、他臓器に転移してしまう。ただし、悪性リンパ腫など血液のがんなどごく一部のがんには抗がん剤が効く場合もある。固形がんには効かないどころか、正常細胞を傷つけ、悪液質を招く。

 たしかに、手術、抗がん剤など標準療法を受けた後、回復した人も身近に存在するが、そうした人々が「本当のがん」だったのか、疑問がある。身体の中にできた「おでき」や「吹き出物」の可能性も否定できないからだ。「悪性/良性」の判定に絶対的なものはない。また、そう考えなければ、全身にがんが転移して明日にも死ぬと言われた人が奇跡的に寛解するはずがない。(故筑紫哲也氏と同じ時期に末期がんと診断されホスピス送りとされた(朝日新聞の)先輩の方が元気に生存されておられると立花隆氏がどこかで書かれていたと記憶している。ただし、奇跡的に免疫力が回復するケースもあると思われる。以下に述べるように現段階ではプラセボ効果と呼ばざるをえない「劇的寛解=Radical Remissiont」と呼ばれるケースだ。)

 

 さて、がんに対する標準治療を拒否した場合、がん患者として「放置療法」しかないのだろうか?前掲の「代替医療解剖」は、代替医療はインチキだと断罪する。ホメオパシー、鍼、カイロプラクティック、結腸洗浄、鍼灸、漢方薬などは、「科学的根拠に基づく医療」(EBM : evidence based medicine)という現代医療のプロトコルから逸脱していると主張する。代替医療が「代替・補完」の位置づけに留まっている理由は、二重盲検ランダム化臨床試験という手続きを経て客観的・統計的に証明されていない以上、科学的とはいえないからだ。がんについていえば、免疫・ワクチン療法、温熱療法、ゲルソン食事療法(無塩食、動物性蛋白質摂取制限、ω3以外の油脂摂取制限、新鮮な有機野菜ジュース・スープなど)、アーヴェルユーダ、漢方薬・ハーブ、サプリメント、ヨガ、レイキ、マッサージ、アロマθェラピー、BRMBiological Response Modifier;アガリクス、カワラタケなどキノコ、サメ軟骨、フコダイン(海藻成分)、カテキン、納豆、乳酸菌、黒にんにく、プロポリス(蜂蜜)、レートリル(ビワに含まれるアミグダリン)、etc.}などが実践されている。これらのがん代替療法の有効性は科学的に証明されていない。(ただし、オランダでは放射線+温熱療法の比較優位が確認されている。)

 果たして、これら標準療法以外の療法にはまったく効果がないのだろうか?イギリスのチャールズ皇太子をはじめ、有名人たちの中には代替療法を強く支持する人々もいる(俳優のスティーヴ・マックイーンはがんをレートリルで治そうとして亡くなった。)WHO報告書では一部の鍼灸療法の有効性を認めている。「代替医療解剖」の著者たちも、一定の効果を認めているものもあるが、それはプラセボ効果に過ぎないと主張する。

それでは、プラセボとはどうして起きるのだろうか?白衣の名医が高級感のある緑色のパッケージの薬を処方すれば偽薬であっても症状改善効果が認められる。11錠よりも2錠服用と処方された方が効果が高い。条件づけられた期待効果というべき心理的なものだ。

 ケリー・ターナー著「がんが自然に治る生き方」(プレジデント社)では、ブラジルで神様のジョンと呼ばれる人物の下にがん患者らが全世界から集い、スピリチュアルなプラクティスを通じて難病を克服しようとしているケースが紹介されている。生活様式、食事内容を見直し、心と身体のバランスの崩れを矯正しようというものらしい。「何を飲食するか、運動は?睡眠は?量は?質は?」と自分に問いかけ、ストレスや怖れを除去し、愛や幸福感を感じられるようにすれば、一人一人が生きる力を自らの内側から引き出すエンパワーメントを得ることができるというものらしい。

 がんの自然退縮はプラセボ効果の極限にあると思う。スピリチュアリティ云々といえば、胡散臭くなるのは否定できないが、私たちは日常生活で霊的な感動を経験している。集中力が増し、モノゴトがゾーンに入ったように進むとき、亡くなった肉親に夢で邂逅したり、オーロラなど自然の神秘現象を生で体験したり、など自らの霊性が高まる奇跡のような体験。

 デカルトがすべての存在を疑問に思って辿り着いた結論は、そのように疑っている自分の存在は疑えないとするものだった。そこでいう自分とは形而上的な「精神」である。しかし、その精神とは、肉体というハードウエアに依存する。目、鼻、耳、舌、皮膚といったセンサーの精度次第で感応の有無・程度が変わる。いいかえれば、個々人で異なるし、同じ人でも健康状態によって変わる。そうした入力装置だけではない。視覚や聴覚でとらえられた外部刺激は神経を伝わり、脳に届くが、刺激によって反応する部位が異なる。外部刺激は電気信号(カリウムイオン、ナトリウムイオン、塩素イオン)に変換され、それぞれのイオン・チャネルをドミノ式に伝わり、ニューロンの軸索接合部位であるシナプスに到達する。そこでグルタミン酸やγアミノ酪酸(=GABA)という化学物質を介した伝達方式に切り替わる。そこでの受容の有り方、すなわち、NMDAなどの受容/グリア細胞の働き次第でアウトプットが変わる。つまり、神経伝達経路がどこかで断線していれば、物理的に存在していても、「ない」ことになってしまう。あるいは、自分には「赤」に見えていても、他人にどう見えているか、わからない。味と同じだ。他人の味覚も永久にわからない。

 デカルトが精神と肉体を区分して、自分の精神=心という実体を認識の出発点とし、肉体を機械と見做したことで、科学は人間を生物機械とする(要素)還元主義に陥ってしまった。DNAが発見され、ゲノム解析が行われ、がん細胞の分裂周期に合せた抗がん剤が開発されたが、DNAには様々な修飾がなされている。DNAが巻き付いているヒストンにも修飾がなされている。クロマチンが緩んでいる箇所があれば、凝縮している箇所もある。科学がやってきたことは、ひたすらミクロを覗きこみ、様々なモノや活動に名前を付けて分類したに過ぎない。言葉の世界でだけ通用する論理式に従って仮説を作り続けてきただけだ。子宮頸がんワクチン禍についても分子量の大きい物質はBBBを通過できないから、アジュヴァントに含まれるアルミニウムや保存剤のチメロサールは脳には影響しないと言われたものだが、インスリンも通過するし、アンフェタミンも通る。トランスセリンレセプターなどの受容体と結合すれば分子量が大きくても脳内に侵入できることがわかっている。

 がんに関していえば、インターフェロンも、イレッサも、オキサリプラチンも、アバスチンも(そして、オプジーボも)、画期的新薬と言われたが、目論見通りにはいかなかった。それはたぶん、ヒトを精神と肉体に分けるという発想の限界を示している。魂の発現場所が脳だとすると、そこへのアプローチなしにはがん治療の将来はないだろう。ドーパミン、エンドルフィン、セロトニン、オキシトシンなどのホルモン(下垂体−視床/内分泌系)と血液・免疫機構(マクロファージ、マスト細胞、T細胞、B細胞など)、ユビキチン・プロテアソーム/オートファジー・リソソーム機構、神経伝達系のすべてを考慮に入れなければ、有効な解決法に至らないだろう。現段階ではとても無理だ。そうだとすれば、プラセボ効果の解明こそ優先すべきだろう。


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